自律神経失調症とは、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが乱れることにより、心や体に異常が現れる病気です。

自律神経は、私達が意識せずともその時に一番良い状態へと体を導いてくれる神経です。この行動は24時間休まず続き、お互いバランスを取りながら働いています。とても賢い自律神経ですが、ちょっとしたきっかけでこのバランスが乱れてしまうことがあります。

自律神経が乱れると、イライラしたり眠れなくなったりなど、いわゆる「不定愁訴」と言われる症状が現れます。この症状には個人差があり、軽い方から日常生活に支障をきたす方までいろいろです。

自律神経失調症を治すためには、自律神経失調症の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、自律神経失調症を治したい方のために、自律神経失調症の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.自律神経失調症とは? 

自律神経失調症とは、自律神経が乱れることでいろいろな不調が現れる病気です。

自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあり、この2つの神経がバランスを取り合うことで体調を安定させています。

自律神経の特徴

  • 交感神経:興奮や緊張を司る
  • 副交感神経:リラックスを司る

本来であれば、日中は元気に活動できるように交感神経が優位になり、夜はゆっくり休めるように副交感神経が優位になります。しかし、ストレスや疲労などの様々な要因が引き金となり、このバランスが崩れてしまうことがあります。そして、そんな状態が続くといろいろな不調が現れ始めてしまうのです。

「自律神経失調症」という言葉は、正式な病名ではありません。自律神経失調症では原因がはっきりしないことも多いのですが、お困りの症状が自律神経機能の乱れにより生じていると予想されたときに選択される病態の総称です。

2.自律神経失調症の症状

自律神経失調症の症状は、身体的・精神的に様々です。症状の現れ方にも個人差があり、症状の強弱・現れる部位・期間などは人それぞれ異なります。

自律神経はいろいろな臓器に影響を及ぼしているため、自律神経失調症で現れる症状は多種多様です。現れる症状は1つのこともあれば複数のときもあり、1つ治っても新しい症状が新たに出現することもあります。

(1)自律神経失調症の身体的症状

  • 眠れない
  • 冷や汗がでる
  • 耳鳴りがする
  • からだがだるい
  • お腹の調子が悪くなる(下痢・便秘)
  • めまい・立ちくらみなどが起きる

(2)自律神経失調症の精神的症状

  • イライラする
  • 情緒不安定になる
  • やる気が出ない
  • 憂鬱な気持ちがつづく
  • 人に会いたくない

 

自律神経失調症の症状は、日常生活で誰しもが経験するような症状ばかりです。そのため、体に異変を感じてもそのままにして悪化してしまうことがあります。症状が軽くても自己判断で放置することはとても危険です。他の病気の可能性もあるため、異変を感じたら一度は医療機関を受診しましょう。

3.自律神経失調症の原因

自律神経失調症の原因になりやすいものには、以下のようなものが挙げられます。

(1)ストレス

人間関係(精神的ストレス)や疲労(身体的ストレス)など、私達の周りにはストレスのもととなるものが溢れています。どのようなストレスであれ、蓄積することで自律神経が乱れやすくなります。

(2)不規則な生活習慣

夜更かしや偏食など、生活習慣が乱れると自律神経も乱れやすくなります。

(3)環境の変化

季節の変わり目や引っ越しなど、慣れない環境下では自律神経が乱れやすくなります。

(4)ホルモンバランスの乱れ

女性は、月経・妊娠・閉経など体の状態に合わせて女性ホルモンの影響を強く受けます。女性ホルモンの乱れは自律神経にも影響を与え、自律神経が乱れやすくなります。

自律神経失調症は、1つの原因で発症することもあればいくつもの要因が重なって発症する場合もあります。心と体に負担がかからないように心がけることが大切です。

4.自律神経失調症の治療

自律神経失調症の治療は、薬物療法が中心となります。しかし、この薬物療法は症状を和らげるための治療であり対処療法です。何らかのストレスが原因とわかっているときは、心理療法を行うことで病気そのものが良くなる可能性があります。

(1)薬物療法

つらい症状を和らげるために、症状に合わせた薬が処方されます。

  • お腹の調子が悪いとき→整腸剤
  • 眠れないとき→睡眠導入剤
  • 不安が強いとき→抗不安薬

(2)心理療法(認知行動療法・カウンセリングなど)

不安や悩みなど自分の内面と向き合うことで、心理面でのストレスを取り除いたりコントロールしたりする方法を身につけます。

薬物療法と心理療法以外にも、自律神経失調症の治療法にはいくつかの選択肢があります。

  • 東洋医学(鍼灸治療・漢方薬など)
  • 理学療法(マッサージ・運動療法など)

 

特に鍼灸治療は、交感神経と副交感神経のバランスを整える効果が高いと言われています。薬を使わず、副作用のない自律神経失調症の治療として大きな注目を集めています。

自律神経失調症は、ストレスとの関連が深い病気です。ストレスと上手に向き合う事により、自律神経失調症の症状が改善する事が多くあります。自律神経失調症は、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。