聴覚過敏症は、通常より音が強く聞こえ、耳や頭に響き、イライラしたりパニック状態になったりする症状を言います。ストレスやプレッシャーを感じている方に現れやすいと言われています。他の人にはわかりにくいため、理解してもらうのが難しい症状です。

難聴を伴う疾患や脳の障害が聴覚過敏を引き起こしている場合は、その原因となる疾患を早急に治療することが重要です。ストレスなど精神的なものが原因となっている場合は、精神が安定できるような対応を考えなくてはなりません。

聴覚過敏症を治すためには、聴覚過敏症の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、聴覚過敏症を治すために必要な聴覚過敏症の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.聴覚過敏症とは?

聴覚過敏症とは、一般的には何でもないと思われる音が大きく聞こえ、耳や頭に響き、苦痛を伴う症状です。

難聴を伴う疾患や、脳の障害、自律神経の乱れ、ストレスなどによって引き起こされると言われています。

聴覚過敏症の方は、鋭く甲高い音に不快を感じることが多いようです。金属音や陶器が当たる音、女性や子どもの甲高い声、小走りの足音、継続する細かい作業音、ドアの開閉音など、気になる音はさまざまありますが、すべての音に反応する人もいれば、ある特定の音に反応する人もいます。

聴覚過敏症は、年齢や性別に関わりなく起こる症状で、精神状態や体調によって音に対する反応が違うこともあります。辛く感じるレベルも個人差があり、なんとか我慢できる程度から、パニック状態になるような重いものまでさまざまです。

聴覚過敏症は耳の症状ですが、中枢や内分泌に関わる重篤な病気の症状として現れていることがあります。その場合は、早急にその病気の治療をすることが必要です。また、精神的な要因も多い症状です。

聴覚過敏症は、ストレスの多い人、不眠症のある人、突発性難聴やメニエール病など難聴を伴う疾患のある人、月経前・月経中の女性、頭部・頸部に手術経験のある人、発達障害がある人などに起こりやすいとされています。聴覚過敏症の症状を自覚したら、原因となる病気や生活環境など見直してみる必要があります。

聴覚過敏症は、他の人にはわかりにくい症状です。周囲の人に症状を伝えることが必要です。

幼児など自分でうまく伝えられない場合、特定の音に耳を塞ぐなど不快感を表す様子がみられれば、聴覚過敏症の可能性も考えられます。周囲が注意を払い、聴覚過敏症であると診断されたら、治療とともに苦痛を少しでも軽減できる環境を整えてあげましょう。

2.聴覚過敏症の症状

聴覚過敏症の症状は、音が必要以上に大きく聞こえ、頭の中に響き、苦痛を感じるということです。

よく「耳をつんざくような」と表現されます。聴覚過敏症の原因によって難聴や耳鳴りを伴うこともあります。

聴覚過敏症の症状の現れ方は、そのときの精神状態や体調によっても違います。症状が軽い場合には我慢をすることができますが、重い場合には耳の奥や頭が痛くなったり、意識がもうろうとしてきたりします。反応している音から離れた方が良い場合もあります。

聴覚過敏症の症状は、低音よりも甲高い音に対して現れることが多いと言われています。食器の擦れ合う音、女性や子どもの声、継続する作業音など、対象と考えられる音はさまざまですが、特定の音に対して症状が出る方と、多くの音に対して症状が出る方がいます。

聴覚過敏症は本人にとっては大変な苦痛で、日常生活に支障をきたすこともあるのですが、他の人にはわかりにくいので、周囲の人にきちんと症状を伝えて理解していただきましょう。

3.聴覚過敏症の原因

聴覚過敏症の原因には、難聴を伴う病気や自律神経の乱れ、ストレスなどが考えられます。

(1)音を伝える機能に異常がある

大きな音が直接耳に届いてしまい、音が大きく響きます。顔面神経麻痺、てんかんの際にみられます。

(2)音の強弱の調整機能に異常がある

内耳の蝸牛(かぎゅう)という部分にある有毛細胞に異常があると、音の強弱の調整がうまくいかなくなります。そのために音が非常に大きく聞こえます。メニエール病や顔面神経麻痺などが影響している可能性もあります。

(3)音の情報処理機能に異常がある

必要な音と不要な音の選択ができず、すべての音を拾ってしまいます。

(4)脳の聴覚野の感度が上がる

聴覚の情報処理の感度が上がり、音が大きく聞こえます。

(5)自律神経の乱れ

過度のストレスにより自律神経が乱れ、交感神経が過剰に反応することによって神経伝達が興奮状態になります。他に睡眠不足や疲労、薬の長期服用等でも自律神経が乱れます。

(6)耳栓の習慣化

聴覚過敏症の症状の辛さを回避するために、日常的に耳栓を使用していると、ますます敏感になり、症状が慢性化する可能性があります。耳栓は、どうしても我慢できないような症状がある場合のみ一時的に使用するようにしましょう。

どのような音に対して不快感があるかを追求していくことで、聴覚過敏症を発症させた原因が判明することもあります。原因が特定できれば、それに対する治療をすることができます。

4.聴覚過敏症の治療

聴覚過敏症の治療は、まず元の病気を治すことが重要です。

メニエール病やうつ病、自律神経失調症など、原因となる病気が判明している場合は、それらの治療をすることによって聴覚過敏症の症状が治まる可能性があります。

聴覚過敏症に大きく関わっているストレスを解消することも大切です。聴覚過敏症の症状が現れることでストレスを感じ、ストレスは聴覚過敏症の原因ともなります。

聴覚過敏症を治すためには、この悪循環から抜け出さなくてはなりません。

(1)薬物療法

ビタミン剤、精神安定剤などを用います。

(2)セロトニンの活性化

セロトニンを活性化させると、精神的に安定し、自律神経のバランスが整います。日光を浴びる、ウォーキングやストレッチなど軽い運動をする、トリプトファン・炭水化物・ビタミンB6などを含む食材を摂取することは、セロトニンを活性化するのに役立ちます。

(3)カウンセリング

聴覚過敏症は、精神的な要素が関わってくるので、専門家に相談し、不安を少しでも解消しましょう。

(4)補聴器

音の伝達や調整がうまくいかなくなり、音を聞き取ろうとして脳の感度が上がることによって聴覚過敏症が起こります。補聴器で聞こえをよくすることで、脳の感度を正常に近づけると聴覚過敏の症状が治まると考えられています。

(5)生活習慣の改善

充分な睡眠をとる、スケジュールを少し緩めにするなど、ストレスを減らしてリラックスできる環境を整えましょう。

聴覚過敏症を治すためには、周囲の方の理解・協力が必要です。症状の辛さ、どのような音が苦手かを理解し、苦痛を軽減するための環境づくりなど協力してあげましょう。そうした安心感が症状の改善につながります。

聴覚過敏症は、治りにくいと言われることがあります。日常生活に支障をきたすこともあり、精神的にとても辛い病気です。しかし、聴覚過敏症は、原因に応じた適切な治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。