突発性難聴は、突然、耳が聞こえにくくなる病気です。突発性難聴は年間3万人以上の方が発症しており、その原因はいくつかの説がありますが、まだ明確なものではありません。厚生労働省から難病の指定を受けている病気です。

突発性難聴を治すためには、正確な診断と早期治療が何よりも大切です。突発性難聴を発症してから48時間以内に治療を始めれば、多くの方が聴力を回復できると言われています。治療開始までの時間が長くなるにつれて回復が難しくなります。突発性難聴は、自覚しやすい症状がみられるので、耳に異変を感じたら早めに受診しましょう。

突発性難聴の症状・原因・治療について知ることは、突発性難聴を治すためにとても大切です。このページでは、突発性難聴を治すために、突発性難聴の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.突発性難聴とは

突発性難聴とは、難聴の一種で、突然耳が聞こえにくくなる病気です。40~50代の方に発症しやすいと言われていますが、若い方や小児にも突発性難聴を発症する方はいらっしゃいます。

難聴には、大きく分けて3つのタイプがあります。

  • 伝音性難聴:内耳は正常。外耳や中耳に異常があり、音の振動がうまく伝わらない
  • 感音性難聴:外耳と中耳は正常。内耳に異常が生じ、音を感じる能力に問題がある
  • 混合性難聴:伝音性と感音性の難聴が混在している

このうち突発性難聴は、内耳に異常のある感音性難聴に該当します。突発性難聴は、突然発症し、片方の耳だけが聞こえにくくなることが多く、異変には気づきやすい病気であると言えます。また、一旦治ってしまえば、繰り返すことはないと言います。

症状を繰り返す場合は、突発性難聴ではなく、「低音障害型感音難聴」と考えられ、「蝸牛型メニエール病」とも言われています。「低音障害型感音難聴」は、低音だけに障害があり、若い女性に多い、めまいを伴わないメニエール病です。

他に突発性難聴と似た疾患に、「特発性両側性感音難聴」(特発性難聴)、外リンパ瘻(ろう)があります。

突発性難聴は、厚生労働省から難病の指定を受けており、診断基準が定められています。

主症状として次のようなものがあります。

  1. 突然の難聴。ただし、難聴発症時の状況を自分で名言できること
  2. 高度な感音性難聴
  3. 原因不明

すべての主症状に加えて、耳鳴りやめまい、吐き気、嘔吐などの副症状がある場合を「確実」、主症状の①②がある場合を「疑い」とする診断基準があります。

突発性難聴は、症状に気づきやすいので、早期対応をすることが可能です。耳に異変を感じたら早めに受診し、48時間以内、遅くとも1週間以内には治療を始められるようにしましょう。治療の開始が早いほど回復の可能性が高くなります。

2.突発性難聴の症状

突発性難聴の症状の特徴は、「ある日突然」「明らかに」「片方の耳だけが」聞こえにくくなるということです。

耳閉感(じへいかん:耳が詰まった感覚)がありますが、その症状のみの人から全く聞こえない人まで、難聴の程度はさまざまです。難聴の程度が軽い人は気づきにくい場合があります。

突発性難聴は感音性難聴の一つで、内耳に障害が生じることで起こる難聴と考えられています。内耳に異常がありますが、外耳道や鼓膜には異常がありません。突発性難聴では、難聴とともに、めまいや耳鳴り、吐き気、嘔吐などの症状が同時にみられる場合もあります。

突然の症状が出て不安に感じられることでしょう。しかし、これらが突発性難聴の診断の材料となります。混乱されるとは思いますが、どのような症状が出ているかを正確に伝えて、早期治療につなげましょう。

3.突発性難聴の原因

突発性難聴の原因はまだ明らかではありませんが、いくつか原因と考えられるものがありますので、ご紹介します。

・ウイルス感染説

内耳にウイルスの感染があるとする説です。風邪の後に突発性難聴になることがあるため、風邪のウイルスによるウイルス性内耳炎が原因となって、突発性難聴を引き起こすのではないかと考えられています。抗炎症作用のあるステロイド剤が有効であることや、流行性があることなどもウイルス説の可能性を示しています。

・内耳循環障害説

血流の障害により、内耳へ充分な血液が運ばれず機能障害を起こすという説です。ただ、突発性難聴は再発することがほとんどないことや、若い方も突発性難聴を起こすことから、この説には疑問も残ります。

・ストレス

突発性難聴も他の病気と同様に、ストレスによる場合があると考えられています。精神的ストレス、睡眠不足、疲労などがあった時期と突発性難聴が起こった時期が一致するケースもあるためです。ストレスにより血管がけいれんし、内耳の循環障害が生じるのではないかと考えられています。

4.突発性難聴の治療

突発性難聴の治療は、まず別の疾患がないかを確認することから始まります。

正確な診断と早期の治療開始が重要です。問診、聴力検査、画像検査などで詳細に調べます。特に聴神経腫瘍では突発的に難聴が起こるため、MRI検査での鑑別が必要となります。

突発性難聴の治療では、基本的に多剤併用療法という薬物療法が行われます。

循環改善薬、利尿薬、ビタミンなど、複数の薬を同時に使用します。10日間ほどステロイド薬の服薬と、点滴をすることによって聴力が改善するか確認します。

薬物療法により改善がみられれば、薬を減らすなどの調整が行われます。ただし、ご自身の判断で薬を減らしたり中止したりすることは、病状の悪化にもつながりかねません。専門家の指示に従いましょう。

ステロイド薬を用いた治療では、血糖値が上昇することがあるので、糖尿病の疑いのある方は、血糖値コントロールも必要となります。

突発性難聴は、48時間以内に治療が開始されると回復の可能性が高く、通院のみで聴力が回復する場合もあります。遅くとも1週間以内に治療を開始することが望ましいと言われています。1カ月を超えると回復が難しくなるので、できるだけ早く治療を開始することが大切です。

薬物療法で思うように症状が回復しない場合は、難治性の突発性難聴と診断されます。

突発性難聴は、発症してから治療開始までの時間が短いほど治りやすいということです。また、再発することはないと言われています。耳に異変を感じたらすぐに検査を受け、早く治療を始めましょう。突発性難聴は早期の治療により治すことができます。どうぞあきらめないでください。