パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質であるドパミンの減少によって起こる神経変性疾患です。50代以降に発症することが多いのですが、1,000人に1人と特に珍しい病気ではありません。
パーキンソン病は、運動症状と非運動症状に分類されますが。運動症状である「安静時振戦(しんせん)」「固縮(こしゅく)」「寡動(かどう)・無動」「姿勢反射障害」は四大症状と言われます。
このうち「固縮」は、筋肉が硬くこわばった感じになる症状で、日常生活の何気ない動作がスムーズにできなくなります。パーキンソン病のこのような症状は、放置しておくと悪化することがあります。
パーキンソン病は、きちんと治療をすれば症状を改善することができます。パーキンソン病のためのリハビリや薬物治療があります。
パーキンソン病の症状「固縮」を治すためには、パーキンソン病の症状「固縮」の特徴・治療について知ることが大切です。このページでは、パーキンソン病の症状「固縮」を治したい方のために、パーキンソン病の症状「固縮」の特徴・治療について詳しく説明しております。
【目次】
1.パーキンソン病とは
パーキンソン病とは、中脳の黒質と呼ばれる部分で作られる神経伝達物質ドパミンが減少することによって、さまざまな症状が出てくる神経変性疾患です。ドパミンが正常の20%より少なくなると発症すると言われています。
パーキンソン病は急激に症状が現れるのではなく、ゆっくりと進行する病気です。そのため、初期では症状を自覚しにくく、パーキンソン病であることに気づかないことがあります。
パーキンソン病は早い段階で治療をすることが大切です。少しでも体の動きに違和感があれば、検査を受けて、パーキンソン病であるか、他の原因による症状なのかを確認しましょう。
パーキンソン病の症状は大きく運動症状と非運動症状とに分けることができます。さまざまな症状がありますが、一人の方にすべての症状が現れるわけではありません。
(1)運動症状
- 安静時振戦:安静時の手・足・頭・顎のふるえ
- 固縮:筋肉が硬くなりこわばる
- 寡動・無動:動作がゆっくりになったり、体が動かしにくくなったりする
- 姿勢反射障害:バランスを取りにくくなり、転びやすくなる
(2)非運動症状
- 便秘
- 排尿障害
- 起立性低血圧
- 睡眠障害
- うつ症状
- 嗅覚障害
- 体の痛み
パーキンソン病の症状は多岐にわたり、他の病気や薬の影響などで似たような症状(パーキンソン症候群)が見られることもあるため、判断しにくいこともあります。原因によって治療法も異なりますので、まずはパーキンソン病であるかを鑑別することが大切です。
パーキンソン病は症状の現れ方に個人差があり、経過年数によっても症状が異なってきます。バランスを崩しやすく転びやすいなど危険性のある症状や、他人にはわかりにくい症状もあるため、ご自身の症状をきちんと把握し、周囲にも理解していただきましょう。
2.パーキンソン病の症状「固縮」の特徴
パーキンソン病の運動症状の一つとして「固縮」という症状があります。固縮とは、筋肉が硬くこわばった感じになることです。そのため、動きがぎこちなくなります。
関節の可動範囲が狭まり、動きが小さくなるため筋力が低下します。ものを飲み込んだり、声を出したりすることも難しくなってきます。
パーキンソン病の症状「固縮」は、他者が腕を持って肘を曲げ伸ばしすると、カクンカクンと引っかかるような抵抗を感じます。ご本人は気づきにくいのですが、これを「歯車様固縮(はぐるまようこしゅく)」と言います。抵抗は強くなったり弱くなったりします。
一定の抵抗感が持続する状態を「鉛管様固縮(えんかんようこしゅく)」と言います。
固縮はパーキンソン病の特徴的な症状であり、他の病気との鑑別の際に重要な所見となります。左右差があります。
固縮の症状が現れると、体が動かしにくくなります。また、パーキンソン病の症状は日内変動もあり、同じ動きができたりできなかったりすることがあります。周囲の方がパーキンソン病に理解がない場合、できない理由がわからず、怠けているように見られる可能性もあります。
ものごとに真剣に取り組んでいるのに、うまく動けない、他人に理解してもらえないとなると、もどかしさを感じることも多いでしょう。
そのことによって、動くことが億劫になったり、外に出なくなったりすると、筋肉が衰え、ますます動きにくくなり、日常生活に影響が出てきます。周囲の方に病気のことを伝えて理解していただき、なるべく体を動かすようにしましょう。そのことがリハビリにもなります。
3.パーキンソン病の治療
パーキンソン病の治療は、薬物治療、リハビリ、外科治療があります。なるべく早い段階で治療を始めることが大切です。
パーキンソン病の治療を行うには、まずパーキンソン病であることの確定が必要です。脳のCTやMRI、血液検査により、他の病気や薬の影響で現れたパーキンソン症候群ではないことを確認し、抗パーキンソン病薬で症状の改善が見られれば、パーキンソン病と診断されます。
(1)薬物治療
①ドーパミンを補う
パーキンソン病の薬物治療として使用される代表的な薬で、不足しているドパミンを補う働きがあります。固縮や振戦などを改善する効果があり、速効性があります。
②ドーパミンを持続させる
ドパミンに似た作用をします。持続性があります。1回の服用で1日、同程度の効果が続きます。
③ドーパミンの減少を防ぐ
ドパミンの減少によって、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きが相対的に強くなり、興奮しやすくなります。抗コリン薬でアセチルコリンの働きを抑え、バランスを整えます。
薬物治療は治療効果が高いのですが、吐き気や食欲低下、頭痛、便秘、排尿障害などの副作用も見られます。
(2)リハビリ
パーキンソン病でお困りの方は、体が動かしにくい上、意欲の低下なども見られるため、運動不足になりがちですが、パーキンソン病の治療においてリハビリはとても大切です。薬が効いて体が動かしやすいときにリハビリを行いましょう。
筋肉や関節を柔らかくしてスムーズな動きができるよう、運動を取り入れます。顔、首、手足など症状の気になる部分の運動や立って行う運動、座って行う運動、横になった状態で行う運動などがあります。無理をせず徐々に運動量を増やしていきましょう。
固縮が起こると、日常生活の何気ない動作である、着替えや食事などにも影響が現れ、スムーズに行えなくなります。これらの動作も毎日のリハビリに取り入れ、動作しやすい工夫をすることも大切です。
(3)外科治療
パーキンソン病の症状「固縮」は、筋肉の緊張が強くなり、スムーズな動きが難しくなる症状です。しかし、リハビリや治療を行うことで症状を改善することができます。どうぞあきらめないでください。