難聴の治療方法は、その原因によって方向性が違ってきます。難聴でお困りの方は多く、治療法も複数あります。聴こえ方に違和感がある場合は放置せず、まず原因をさぐることが良い治療法を選ぶためのポイントとなります。
難聴が別の疾患から生じている症状のひとつである場合、元の疾患を治療することで難聴も治まることが考えられます。併発している他の症状とあわせて、総合的に診断することが肝心です。
難聴のタイプや治療方法をあらかじめ知っておくことは、難聴を治すためにとても大切です。このページでは、難聴を治したい方のために、難聴の治療方法について詳しく説明しております。
1.難聴のタイプ
難聴のタイプを大まかに分けますと、伝音性難聴(でんおんせいなんちょう)と感音性難聴(かんおんせいなんちょう)、それに両者が混在している混合性難聴があります。伝音性難聴は外耳や中耳の疾患から、また感音性難聴は内耳あるいは聴神経の疾患が関係していることが多いといいます。
難聴では、耳の病気や別の疾患と深く関係していることが少なくありません。伝音性難聴では、外耳炎や中耳炎、耳硬化症や事故などによる外傷・音の衝撃、また生まれつき耳の骨が奇形である場合も原因となりえます。
具体的に感音性難聴には、内耳内のリンパ液が増えすぎて発症するメニエール病や、環境や職業的な難聴といえる騒音性難聴、突然に発症する突発性難聴などがあります。それぞれ発症するに及んだ背景がありますので、問診の際に医療機関へ詳細を伝えることが肝心です。
加齢による老人性の難聴や、ウイルスによる感染症などがきっかけで発症した難聴は混合性難聴に分類されます。難聴でも、聴こえにくさの特徴や何が引き金となっているのかによって、対処の仕方が異なってきます。
2.難聴の薬物療法
難聴の薬物療法では、目的に応じて複数の薬剤が適用されます。血液の循環が滞ると、全身において支障が出ます。難聴の疾患も例外ではありません。
まず耳や周辺の血流を良くすること、それから全身的な血行不良も改善させる必要があります。
血流を改善させる薬や、血管の拡張をはかる末梢循環改善薬を用います。また内耳や脳内の血流を促すために、抗めまい薬が適用されることもあります。
全面的に血行不良を治すのには、漢方薬という選択もあります。
聴覚神経の伝達機能を回復させるためには主にビタミン剤、内耳の神経や代謝を促す神経代謝賦活剤(しんけいたいしゃふかつざい)なども有効となります。
メニエール病では、リンパ液を抑える必要があります。体内での水分量を適切に調整するための利尿薬が用いられます。また全般的に、細菌の増殖と炎症を防ぐための抗菌薬も使われます。
難聴の治療で用いられる薬物は、内服薬や点滴など組み合わせやタイミング、服用する期間など、重症度や回復状況に応じて医師が決定していきます。副作用の問題などがありますので、自己判断で量を変える、中止することはやめましょう。
3.難聴のその他の治療法
難聴のその他の治療法としては、耳鼻咽喉科ではない医療機関で行うものもあります。
例えば、難聴の原因として心因性のものがありますが、このケースは心療内科や精神科などが専門となります。カウンセリング、行動療法などが有効となります。
いくつも検査を重ね、耳や脳、全身性の疾患をすべて否定でき、精神的なストレス状態やご本人の気質傾向などから、心因性なのか判断することになります。
なぜ難聴の症状が出ているのか、ご本人さえ理解できていないこともあり、時間を要することが多々あります。
耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)や、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)では、耳管内が狭くなっていることから、空気を送り風通しを良くする「耳管通気療法」があります。
老人性の難聴では、補聴器を身に着けることで聴力を補うのが一般的です。耳鼻咽喉科で検査を受け、補聴器専門店で購入することができます。
騒音性難聴のように、職業として騒音に囲まれているのが常であるケースは、職場の環境改善や対策を企業などに求めます。ご自分の職場は、労働基準や労働災害法に反していないかチェックしておくことも大切です。
予防として鍼灸治療、マッサージやストレッチ、負担にならない程度の軽い運動をするのも血行不良を未然に防ぐ方法となります。要因となるストレスも、ためこまないよう意識した生活をするのが良いでしょう。
5.耳鼻科を受診する際に気をつけたいこと
耳鼻科を受診する際に気をつけたいことをまとめてみました。
難聴の検査は、いろいろな側面から実施することになり、ご本人から伝えられる情報も貴重な診断の材料となります。医師も先入観を持たずに、最初から調べることを心がけています。
普段の聴こえ方や生活習慣などを、過不足なく伝達することが大切です。症状の特徴や聴こえ方をご家庭内でメモしておかれると、いざ説明する時にわかりやすいでしょう。
難聴が、思いもしないところに起因していることもあるのです。
難聴の治療は個人差があります。症状の回復までともに歩んでくれる良い治療者を見つけて、治療生活と向き合ってください。治療の種類はさまざまですので、どうぞあきらめず腰を据えて専念してください。