ぎっくり腰は急性の腰痛症の一つで、突然、腰部に驚くほどの激しい痛みが生じ、動けなくなってしまう症状です。そのため、症状が落ち着くまでは日常生活に支障があります。

ぎっくり腰は経験された方が多く、珍しい症状ではありません。ぎっくり腰を経験したことがなくても、日常的に聞く言葉であり、どのようなものか知っている方が多いでしょう。

ぎっくり腰は年配の方に起こるものと考えられてきましたが、若い方がくしゃみをしただけでぎっくり腰になったというケースもときどき見られます。腰に強い負担がかかることや、日ごろの姿勢の悪さなどが影響するようです。

ぎっくり腰は自然治癒する症状ですが、いったん治っても再発しやすいと言われます。発症した直後の痛みは非常につらいもので、できるだけ早く治したい、予防したいと誰もが思うでしょう。

ぎっくり腰を治すためには、ぎっくり腰の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、ぎっくり腰を治したい方のために、ぎっくり腰の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.ぎっくり腰とは

ぎっくり腰とは、突然、腰部に身動きが取れないほどの激しい痛みが生じることです。それは重い物を持ち上げたときや、腰をひねったとき、くしゃみをしたときなどに起こります。

「ぎっくり腰」は俗称で、正式名を「急性腰痛症」と言い、「腰椎捻挫」と言うこともあります。「非特異的腰痛症」と表現されることもあります。

しかし「ぎっくり腰」という言葉の方がよく使われており、突然激痛が起こる様をよく表しています。正式名称を言われるより「ぎっくり腰」と言われた方がピンとくるのではないでしょうか。

ただし、急に腰に痛みを感じたからと言って、必ずしもぎっくり腰とは限りません。

ぎっくり腰であれば、数日から数週間で痛みも治まりますが、日数が経過しても症状に改善が見られない場合や、脚の痛みやしびれを伴っている場合は、圧迫骨折や椎間板ヘルニアの疑いもあります。

また、ぎっくり腰は自然治癒しますが、再発もしやすいと言われています。

2.ぎっくり腰の症状

ぎっくり腰の症状は、腰部に起こる突然の激痛です。ぎっくり腰は何の前触れもなく、突然激しい痛みに見舞われます。「不意打ち」といった感じで、その瞬間は息が止まるほどの強い痛みが走り、動けなくなります。

発症直後の痛み以外には、次のような症状があります。

  • 体を動かしたり、くしゃみをしたりすると腰が激しく痛む
  • 椅子に座ることができない
  • 仰向けに寝られない

ぎっくり腰の症状は2週間程度、長くても数週間で治まりますが、一度ぎっくり腰を発症した人は再発しやすいと言われています。

ただし、ぎっくり腰の症状として脚に痛みやしびれが出ることはありません。脚に症状が出たり、腰の症状がいつまでも治まらなかったりする場合は、ぎっくり腰ではない可能性があります。ぎっくり腰以外の病気ではないか、きちんと調べてもらいましょう。

3.ぎっくり腰の原因

ぎっくり腰の原因は、瞬間的に腰に強い負担がかかることです。次のような場面でそのような状況になりやすいと考えられます。

  • 重い物を持ち上げた
  • 腰をひねった
  • くしゃみをした

しかし、どのようなことをしているときにぎっくり腰になったかを尋ねると、特別なことをしていたわけではないと言われる方もいます。

同じ条件であっても、ぎっくり腰になる場合とならない場合があります。同じ姿勢を続ける仕事や、腰をよく使う仕事をしている人は、常に腰に負担がかかっているため、これらの状況が引き金となってぎっくり腰を起こしやすいようです。

また、次のような人は、日常的に腰に負担がかかり、ぎっくり腰になりやすいと言われています。

  • 姿勢の悪い人
  • 運動をあまりしない人
  • 肥満気味の人

ぎっくり腰の原因を見ると、ぎっくり腰は年齢の高い方だけの症状とは言えません。若い方でも起こりえます。腰に負担がかかりやすい仕事や生活をしていないか確認することが大切です。

また、日ごろあまり運動をしない人が急に運動をしたなど、慣れない動きをすることで腰に負担をかけたためにぎっくり腰を起こすこともあります。

ぎっくり腰の原因となっている状況が改善されないと、再発する可能性が高くなります。腰への負担が大きい状態が続くと、腰痛が慢性化する可能性もあります。また、再発の回数が多い方は何らかの病気が隠れているケースもありますので、調べてもらいましょう。

4.ぎっくり腰の治療

ぎっくり腰の治療を行う際は、まず、圧迫骨折や椎間板ヘルニアなど他の病気ではないことを確認してから行います。治療法が異なるからです。ぎっくり腰と他の病気を判別するために、痛む部分や発症したときの状況を正確に伝えましょう。

ぎっくり腰なのか、他の病気による腰痛なのかを判断するために画像検査も行います。ぎっくり腰の多くは画像検査に異常は認められないので、画像検査は他の病気の可能性を否定するために行われます。

ぎっくり腰は時間の経過とともに自然治癒することが多いのですが、適切な治療をして少しでも早く元の生活ができるようにしたいものです。ぎっくり腰の治療として次のようなものがあります。

1)安静

ぎっくり腰の治療では、痛みが落ち着くまではまず安静にすることが必要です。動けないほど痛みが激しいので、安静にせざるを得ないという方が正しいかもしれません。

ただし、長く安静にしすぎると回復が遅くなると言われています。激しい痛みが少し治まってくれば、普通に生活した方が早めに回復するようです。

2)鎮痛薬

強い痛みを抑えるために、鎮痛薬や湿布を使用します。鎮痛効果が高いのですが、飲み薬の場合、胃腸や腎臓への副作用があります。

3)神経ブロック法

神経あるいは神経周辺に麻酔薬を注射して痛みをやわらげます。

4)コルセットの着用

コルセットで腰を固定することで動きが楽になり、通常の生活をしやすくなります。

5)お風呂で温める

痛みが少し落ち着いたらお風呂で温めて、血行を良くしましょう。

ぎっくり腰はあまり不安に感じる必要はないのですが、激痛が走り、再発しやすいため、できれば予防したいものです。腰に無理な負担をかけていないかを確認して、ぎっくり腰の原因となるような状況を改善することが大切です。

日常生活に工夫を取り入れ、ぎっくり腰を予防しましょう。

  • 重い物を持つときは、腰を落として持つ
  • ウォーキングやストレッチ、腹筋運動、背筋運動、屈伸運動などを行う
  • 日ごろ行わない動きをするときは徐々に体を慣らす
  • くしゃみをするときは、背筋を伸ばし、膝を少し曲げて下を向いてくしゃみをする
  • 肥満にならないように食生活の改善をする
  • 前かがみばかりの姿勢にならないようにする

ぎっくり腰の多くは時間の経過とともに自然治癒するので、過剰な不安を抱く必要はありません。とは言え、突然身動きできないほどの激痛が走り、つらい思いをしますし、一時的ではありますが生活に支障をきたします。

ぎっくり腰は適切な治療と生活の工夫をすることで、回復を早めることができます。また、日常生活の改善で予防することや再発を防止することも可能です。どうぞあきらめないでください。