緑内障は発症すると、ゆっくり進行していく眼の疾患です。割合として、40歳代以上の20人にひとりの方が、緑内障でお悩みであるという統計結果もあります。また、発症していることに気づかないまま月日が経過してしまっているケースも、多く見受けられます

緑内障は治療法にいくつかの選択肢があり、その方にとって最適な方法を見つけていくことが、緑内障の予後にかかわってきます。治療期間が長くなることも考えられますので、ご自分の症状がどのような状況にあるのか把握しておくことが肝心です。

緑内障の予後がどのようなものか事前に知ることは、緑内障を治すためにとても大切です。このページでは、緑内障を治したい方のために、緑内障の予後について詳しく説明をしております。

1.緑内障の種類と特徴

緑内障の種類は、眼球内で起こる症状によって分類され、それぞれ違う名称がつけられています。

下記の通り、緑内障の名称とその特徴をまとめてみました。

1)原発開放隅角緑内障(げんぱつかいほうぐうかくりょくないしょう)

眼球内の房水が排出される部位を隅角といいます。隅角が広くなっているにもかかわらず、眼圧が高いのが特徴です。フィルターの役割をする線維柱帯(せんいちゅうたい)が詰まって、房水の流れを悪くしていると考えられます。

2)原発閉塞隅角緑内障(げんぱつへいそくぐうかくりょくないしょう)

隅角が極端に狭くなっている、あるいは完全に塞がれている状態の緑内障です。隅角の構造そのものが、房水をせきとめてしまい循環を悪くしているのです。

3)正常眼圧緑内障(せいじょうがんあつりょくないしょう)

眼圧の上昇は緑内障の主な原因のひとつとなります。しかし、眼圧の値が正常値におさまっているのに緑内障を発症しているタイプです。

4)発達緑内障(はったつりょくないしょう)

生まれつき隅角に異常があり眼圧が高くなることから、幼い頃に発症する緑内障です。生まれて1歳までに発症する「早発型」と、20歳代までに発症する「遅発型」があります。

5)続発緑内障(ぞくはつりょくないしょう)

緑内障とは無関係である別の疾患をわずらっており、その治療のために使用する薬剤の影響を受けて緑内障を引き起こすものです。

2.緑内障の段階的な症状

緑内障では段階的に症状も変化していきます。発症する以前と、発症後それぞれの段階で、状況の違いを下記にまとめてみました。

1)発症する前

自覚症状はほとんどなく、眼が疲れても「疲れているなぁ」と思うだけで見過ごしてしまいがちです。眼圧が高くても視神経の障害をともなわない「高眼圧症」は、いずれ緑内障に移行する可能性があります。眼科医院で指摘された方は、注意が必要です。

2)発症の初期

緑内障は眼の疾患ですが、眼だけでなく頭痛や首こり、肩こり、眼精疲労といった直接的に結びつかない症状もあります。これらは、緑内障だけでなく別の疾患での症状にもありえるものです。緑内障の早期発見には、やはり定期的な眼科検診が重要といえます。

3)発症の中期

緑内障の主な症状である視野の欠損を感じることが多くなります。見え方に何となく違和感があるという時期を、そのまま5年から10年ほど過ごしてきて「やっぱりおかしい」と不安な気持ちがふくらみ始める時期です。

視力が低下してきた、車の運転で支障がある、かすみ目になりやすく瞬きする機会が増えてきたなど、日常生活で見え方に異常を感じることがたびたびあるレベルです。そうしてようやく医療機関を受診される方が増える頃でもあります。

4)発症の末期

緑内障の症状は、片側の眼に出始め、次第にもう片方の眼にもあらわれるようになります。視野が狭くなっていたり欠けていることから見え方は不完全で、前から接近してきたものに気がつかずぶつかってしまうなど、驚いたり危険な目にあうこともしばしばあります。

緑内障の治療では、見えづらい状況をどのように工夫して克服するか、効果的な点眼薬を適用することなどを考えながら、いかに進行を遅らせていくかが課題となります。地道に治療と向き合うことが大切です。

3.緑内障の治療法

緑内障の治療法では、点眼薬など薬剤を適用するのが中心となります。点眼薬を用いて、上昇している眼圧を降下させることを目的とします

その効果には個人差があり、また別の疾患があると使える薬剤に制限があるなどするため、薬剤の選択は重要です。

緑内障で用いる点眼薬は、まず一種類のもので様子をみていきます。最初は効果が得られていても、持続的に使っていくうちに効果が薄れてくる場合もあります。また、作用の異なるものを数種類、併せて用いることもあります。

治療を開始してからも、眼圧を測定したり、眼底の様子を画像で観察し変化がないかチェックしていきます。また、実際の見え方が悪化していないかの確認もします。さまざまな検査を定期的にしていくことが、緑内障の治療では大切です

薬剤だけで十分な効果が得られなくなったり、先天性の緑内障であった場合は、外科手術を行うことがあります。

眼圧の値や眼底の形状に変化がないかなど、その後もチェックしていくことを続ける必要はあるのです。緑内障の治療では、状態をいかに管理し、把握していくかが好ましい予後を過ごすことにつながっているといえるでしょう。

4.緑内障の予後について

緑内障の予後については、以前にくらべると格段に良くなっているということがいえます

その背景には、かつては考えられなかった斬新な治療法や、医療研究が盛んに行われるなかで次々と開発される新薬などの存在があります。

検査も多角的な見地から実施され、また精密な検査機器の改良解析技術の向上も、検査の際に感じる負担の軽減につながっています。優れた検査機器を用いて、詳細なデータを多くそろえられることから、診断するための材料は増えているといえます。

そうして目の肥えた専門家が適切に診断を行うことで、緑内障の早期発見につながるのです。緑内障で効果的な治療を実施するためには、まず信用できる医療機関を見つけることが先決であるといえます。治療は、医療機関と連携して行うものなのです。

緑内障の予後を好ましくするためには、予防を考えたり定期的な眼科検診を怠らないといった、事前の対策から始まっています。眼をいたわり、肯定的な心もちで健やかに過ごすという「健康を維持するための心得」に忠実であることが大事です。

緑内障であると診断されても、以前と違って医学は進歩してきています。今後も、緑内障の新たな治療法が開発されるだろうと期待されています。緑内障の予後は、ますます改善される方向にあるのです。どうぞあきらめず、前向きな気持ちで治療を続けることが大切です。