線維筋痛症とは、全身のいろいろな場所で慢性的な痛みが生じる病気です。その痛みは関節・筋肉・腱などで起こりやすく、強い痛みが慢性的に続くことがあります。つらい状態が続くため、不眠・うつなど他の病気に発展してしまうこともよくあると言われています。
線維筋痛症を発症してしまうはっきりとした原因は不明ですが、脳の情報処理過程に問題があるのではないかと考えられています。
線維筋痛症は、中高年以降の女性に多い傾向があります。しかし、線維筋痛症は検査などで異常が見つかりにくく、診断が難しい病気です。そのため、更年期障害などの他の病気と診断されているケースも多くあると予想されます。
線維筋痛症を治すためには、線維筋痛症の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、線維筋痛症を治したい方のために、線維筋痛症の症状・原因・治療について詳しく説明しております。
1.線維筋痛症とは?
線維筋痛症とは、慢性の痛みやこわばりを感じる病気です。この症状は全身のいろいろな場所で起こる可能性があります。
線維筋痛症では、痛い場所を調べても異常を見つけることは難しく、血液検査や画像検査をしてもおかしなところは見つかりません。しかし、「痛い」という症状ははっきりと存在しているため、この痛みの範囲や強さを調べることで線維筋痛症を診断していきます。
線維筋痛症の診断には、下記の2つのポイントが参考にされます。
- 広範囲に感じる痛みが3ヶ月以上続いている
- 定められている18カ所の内、11カ所以上で痛い場所がある
線維筋痛症では、御本人の「痛い」という訴え以外に病気を示す証拠が見つかりません。そのため、周囲の理解を得にくいことも多く、その点に悩まれている方も多くいらっしゃいます。
2.線維筋痛症の症状
線維筋痛症の症状は、慢性的な激しい痛みです。線維筋痛症では、痛み以外にも耳鳴り・腹痛・頭痛・ドライアイ・倦怠感など多くの随伴症状が報告されています。
このことから線維筋痛症は死に至る病気ではないものの、痛みをはじめ多種多様の症状にお困りの方が多くいらっしゃる病気といえます。
線維筋痛症の特徴
- 朝に悪化しやすい
- 痛み方が一定ではない
- こわばりを伴うことも多い
- 痛む部位が移動することがある
- 疲労、ストレス、天候などより症状が左右される
- 髪が触れるような軽い刺激であっても強い痛みが生じる
線維筋痛症は、他の病気の影響を受けて発症することもあれば、症状のつらさから新たな病気を招いてしまうこともあります。
(1)線維筋痛症を引き起こす可能性がある病気
- 関節リウマチ
- 変形性関節症
- 強直性脊髄炎
- シェーグレン症候群
- 全身性エリテマトーデス
(2)線維筋痛症を発症した結果、招いてしまう恐れがある病気
- うつ病
- 不眠症
- 自律神経失調症
3.線維筋痛症の原因
線維筋痛症の原因は、はっきりとわかっていません。しかし、脳の痛みに関する情報処理過程で機能障害が起きているのではないかという説が有力です。
皮膚など体のどこかで何らかの刺激が加わると、その刺激は電気信号となり脳に伝わります。この情報により脳は「痛み」を認識します。
脳は痛みに関して、「アクセル(痛みの信号を伝える)」と「ブレーキ(痛みの信号を抑える)」の2つの機能を備えています。しかし、何らかの原因でこの機能に障害が生じると問題がおきはじめます。
車で例えるなら、アクセルを踏み込みすぎているまたはブレーキがききにくいという困った状態です。この暴走状態では、本来では痛みを感じないくらいの小さな刺激でも強い痛みを感じることがあります。
体のどこかに痛みを感じたら、その場所に問題があるのではないかと考えるのではないでしょうか?しかし線維筋痛症の場合、問題は「痛む場所」ではなく「痛みを感じる過程」において生じているので、痛む場所を調べても痛みの原因が見つからないのです。
このような脳の機能障害は、以下のようなものがきっかけとなり生じやすいと考えられています。
- 遺伝の影響
- 身体的・精神的ストレス
- 怪我・事故・手術・病気など体へのダメージ
4.線維筋痛症の治療
線維筋痛症の治療には、確立された方法がまだありません。
しかし、強い痛みや他の症状により日常生活に支障が生じてしまうケースが少なくありません。
そのため、お困りの症状を和らげる対処療法が中心となります。
(1)薬物療法
脳の痛みに関する情報処理が円滑になるような薬剤を処方します。
- アクセルがききすぎている→興奮を抑える薬
- ブレーキがききにくい→働きを強める薬
その他、うつ状態でお困りの方には抗うつ薬を、眠れなくてお困りの方には睡眠導入剤など、お困りの症状にあわせた薬が処方されます。
(2)運動療法
運動することで筋肉の緊張を取り、痛みを和らげます。体に心地よい負荷を与えることで、良い睡眠にも繋がります。
(3)認知行動療法
自分の物事の受け取り方や考え方のパターンを理解して、ストレスに上手に対応できる状態を作れるように訓練します。
(4)心理療法
線維筋痛症では、ストレスが症状を悪化させてしまう大きな要因と考えられています。ストレスが和らぐようにカウンセリングなどでアプローチしていきます。
線維筋痛症は自律神経のバランスの乱れを大きく引き起こします。このため、自律神経失調症の症状が出やすくなります。自律神経のバランスを戻すための治療も効果的です。
線維筋痛症は、長期の治療が必要になるかもしれない病気です。早期に発見して治療を始めることにより、線維筋痛症の症状が改善する事が多くあります。線維筋痛症は、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。