HOME > めまいでお困りのあなたへ

めまいを治すために

めまいとは、平衡感覚に異常が生じ、目が回るような感覚のことをさします。めまいは、その原因によって、症状の出方に特徴があり、また、他の症状を伴うこともよくあります。

めまいは、耳か脳に原因があることが多いのですが、加齢・疲労・ストレスなどによってもめまいが起こることがあります。

原因がよくわからない、治療を続けてもよくならない、重大な病気がかかわっているかもしれないなど、めまいには不安要素がたくさんあります。しかし、めまいは、適切な治療をすれば改善することができます。

めまいを治すためには、めまいの症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、めまいを治したい方のために、めまいの症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.めまいとは?

めまいとは、平衡感覚が保てず、体のバランスが崩れ、目が回るような感覚のことをさします。めまいは、さまざまな病気との関連があり、よく見られる症状です。自然に治まるめまいもありますが、重大な病気がかかわっているめまいもあります。緊急を要する場合もありますので、事前に知識を持っておくと、適切な対応をすることができます。

めまいは、大きく3つに分類されます。

  • 回転性めまい
  • 不動性めまい
  • 立ちくらみ(眼前暗黒感)を伴うめまい

めまいともに、耳鳴りや吐き気、頭痛など他の症状を伴うこともあります。意識障害や麻痺などが現れた場合は、命にかかわることもありますので、即座に救急車を呼んでください。そうでない場合も、できるだけ早く受診し、検査を受け、原因を特定してもらいましょう。

原因によって、めまいの特徴や同時に現れる症状が異なり、対処法が違ってきます。緊急性はなくても、動くと症状がひどくなる場合もあります。しかし、治療を開始するのは早いに越したことはありませんので、2~3日のうちには受診しましょう。

2.めまいの症状

めまいは3タイプに分けられ、それぞれに特徴があります。

(1)回転性めまい

  • 自分や周囲がグルグル回転しているように感じる
  • 吐き気や嘔吐、耳鳴りを伴うことが多い
  • 突発的に起こることが多く、短時間で治まる

(2)浮動性めまい

  • フワフワ浮いたように感じる
  • 肩こりや頭痛を伴うことが多い
  • 休んでもよくならず、長時間続くことが多い

(3)立ちくらみ(眼前暗黒感)を伴うめまい

  • 立ち上がった際に目の前が暗くなり、クラッとする
  • 意識が遠のく感じがある
  • 思春期に多い

めまいが起こった際、どのようなタイプの症状か、同時にどのような症状が現れているかが、原因を特定する重要な要素となります。

3.めまいの原因

めまいの原因の大半は、耳か脳にあります。耳と脳は平衡感覚にかかわっており、どちらかに異常が起こると、情報の受け渡しがうまくいかなくなります。そのことにより、めまいという症状が現れます。

また、めまいが起こっているのに、耳にも脳にも異常が見つからない場合があります。その場合は、疲労やストレス、自律神経の乱れ、生活習慣の乱れ、肩こり、頭蓋骨のゆがみ、顎関節症などが考えられます。

(1)回転性めまいの原因

回転性めまいは、主に三半規管の異常で起こります。三半規管は、回転などの動きをとらえる働きがあるのですが、ここに異常が生じると、体が動いていないのに動いていると勘違いして、めまいを感じます。原因となる病気は、メニエール病、前庭神経炎、外リンパ瘻(ろう)、中耳炎、良性発作性頭位めまい症などが考えられます。

(2)浮動性めまいの原因

浮動性めまいは、脳の異常、自律神経の乱れ、眼精疲労、肩こりなどが主な原因です。浮動性めまいは、原因の特定が難しいめまいであると言われています。原因となる病気は、脳梗塞、脳出血、聴神経腫瘍、椎骨脳底動脈循環不全、高血圧症などが考えられます。長時間同じ姿勢でいることによる神経の圧迫でも起こることがあります。

(3)立ちくらみ(眼前暗黒感)を伴うめまい

立ちくらみを伴うめまいは、自律神経失調症、不整脈、低血圧、貧血、ホルモンバランスの乱れ、不安、ストレスなどが原因です。症状が頻発する場合は、脳疾患、心臓病、消化器の出血などが考えられます。

耳が原因でめまいが起こる病気は、メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴、聴神経腫瘍、良性発作性頭位めまい症などがあります。

脳が原因でめまいが起こる病気は、脳梗塞、脳出血、てんかん、椎骨脳底動脈循環不全などがあります。

良性発作性頭位めまい症、緊張型頭痛、不安障害、うつ、女性の更年期障害によるめまいは、心配のないめまいと言われています。

4.めまいの治療

めまいには、心配のないものもありますが、緊急を要する場合もあります。まずは、原因を特定する必要がありますので、速やかに検査を受けましょう。めまいの原因によって治療法が異なります。

めまいの治療では、めまいとともにどのような症状が現れているかによって受診する科が異なります。

  • 耳鳴り、聞こえづらさ、耳閉感(じへいかん)など→耳鼻咽喉科
  • 手足のしびれ、物が二重に見える、震えるなど→神経内科、脳神経外科

脳疾患以外のめまいの治療は、主に薬物療法を行います。

  • 抗めまい薬・循環改善薬:内耳や脳の血流をよくすることでめまいを和らげる
  • 吐き気止め
  • 抗不安薬:不安を軽減する
  • 利尿剤:メニエール病などの内耳のむくみをとる
  • ステロイド剤:炎症を抑える
  • ビタミン剤:神経の障害を改善する

薬物療法で充分な改善が見られないときは、手術理学療法などを行います。

  • 理学療法:良性発作性頭位めまい症における頭位運動

5.病院で改善しない耳鳴りの方への当院の治療

病院で検査をしても原因がわからない、薬物療法を行っても治らないめまいがあります。耳や脳には異常がなくても、体質や体のゆがみ、環境などの影響で起こるめまいもあります。

つらい症状が長引くと、一生治らないのではと不安感も生じます。長期間の薬物療法で充分な改善が見られない場合、漢方薬、鍼灸、マッサージなどで、体質改善やゆがみの矯正を行うことによって、症状が改善することがあります。

めまいの治療で大切なことは、「症状を改善する」「根本原因を治療して、再発を防ぐ」ことです。当院では、以下を中心としためまいの治療を行います。

(1)耳の治療

めまいの原因が耳にある場合は、耳の状態を改善しなければなりません。耳には、平衡感覚をつかさどる三半規管があります。ウイルスなどが侵入して三半規管に炎症が起こると、平衡感覚が崩れ、めまいを起こしやすくなります。

三半規管は薬が効きにくい場所にあります。そのため、薬物療法ではなかなか改善されず、服薬期間が長くなり、量も増えていくのです。薬ばかりに頼ると、副作用のことも考えなければなりません。当院では、めまいの治療において、三半規管の状態を改善することを目的としています。

(2)耳鼻咽喉領域の改善

めまいの原因として耳鼻咽喉領域の問題があります。風邪や慢性鼻炎、花粉症、アレルギー性鼻炎などにより、喉・鼻にいるウイルスが耳管を通って耳に入ってきます。

耳鼻咽喉領域に慢性の炎症があれば、ウイルスが入りやすい状況が続き、再発しやすくなります。

めまいを改善するためには、耳鼻咽喉領域の慢性的な炎症を治さなければなりません

(3)免疫力の改善

免疫力の低下もめまいを起こす原因となります。免疫力とは、ウイルスや細菌などから自分を守る力です。疲労やストレスなどは免疫力を低下させます。免疫力が低下すると、風邪もひきやすくなり、耳鼻咽喉領域の問題が起こります。

睡眠・食事・運動などの見直しによって、免疫力をアップさせることができます。免疫力アップは、めまいの改善につながります。

(4)自律神経のバランスの改善

自律神経のバランスが崩れることで、めまいが起こることがあります。めまいの原因がはっきりとした病気であれば、対処しやすいのですが、原因がわからない場合は自律神経の乱れが影響しているのではないかと考えられています。

自律神経は、ストレスや不規則な生活などでバランスが乱れます。意識的に休養をとったり、軽い運動などでストレスを解消したりして、緊張が続いている体をリラックスさせてあげましょう。自律神経を整えることで、めまいの改善には大切です。 

めまいは、原因不明、治らないなどと言われることもありますが、しっかりと治療をすれば改善する症状です。そのためには、根本原因の治療が必要です。どうぞあきらめないでください。

めまいの時の対処方法

めまいは、突然起こることが多く、とても不快な症状です。めまいでお困りの方は、加齢に伴い多くなる傾向があり、年々増えてきています。

めまいは多くの方が経験され、自然に治まるだろうと軽視されがちです。しかし、重大な病気が潜んでいる場合もあります。病気がめまいの原因となっている場合は、耳や脳に異常が生じていることが多く、もとの病気を治療する必要があります。また、ストレスや生活習慣の乱れからめまいが起こる場合もあります。

めまいは、大きく3つに分類することができます。自分自身や周囲がグルグル回っている感じがする「回転性めまい」、体がフワフワ浮いた感じがする「浮動性めまい」、立ち上がった瞬間にクラッとする「立ちくらみ」です。

めまいが続くと、日常生活に支障をきたし、不安を感じるようになります。その不安がさらに症状を悪化させることになります。めまいに対する不安を解消し、対策を立てるためには、めまいについて知ることが大切です。

めまいについて事前に知っておくと、予防するための心がけや、突然めまいが起こったときの対応の仕方がわかります。このページでは、めまいでお困りの方のために、めまいとの上手な付き合い方や対処法について詳しく説明しております。

1.めまいの傾向の探り方

めまいは大きく分けて3タイプあり、原因は非常に多岐に渡ります。めまいに伴う症状もさまざまで、自然に治まるめまいもあれば、重大な病気が関わって緊急を要するめまいもあります。めまいの原因によって対処の仕方が異なります。

めまいの起こり方に傾向や規則性があることがわかれば、めまいに対処しやすくなります。どういうとき、どのような状況でめまいが起こりやすいかを把握するために、「めまい日記」をつけることをお勧めします。

「めまい日記」は、医師の診察を受ける際にも役立ちます。医師が「めまい日記」を見て、めまいが起こる原因や規則性を見つけてくれるかもしれません。そうすれば、めまいを予防するための対策や、めまいが起こったときの対処法を考えることもできます。

「めまい日記」には、日付、天気、気温、睡眠時間、その日の行動も書いておきましょう。意外なところに原因が見つかり、症状改善の糸口となるかもしれません。

「めまい日記」に書いておきたいこと

  • めまいが起きた時間帯とそのときの状況
  • めまいが続いた時間
  • めまいの症状の特徴
  • めまい以外の症状(頭痛・吐き気・耳鳴りなど)
  • 思い当たるめまいの原因
  • 薬の服用状況

2.めまいが起きたときの対処法

めまいが起きたときの対処法として一番大事なことは「安静にすること」です。緊急を要するような症状(激しい頭痛、ろれつが回らない、意識障害)を伴う場合は、すぐに救急車を呼んでください。そうでない場合は、安静にしてめまいの症状が落ち着くのを待ちましょう。

・安静にする

静かな場所で、部屋を暗くし、横になってめまいが落ち着くのを待ちます。光や音は脳を刺激し、めまいが悪化するので、目や耳から入る刺激は遠ざけましょう。

頭もできるだけ動かさず、ベルトやネクタイはゆるめて楽な姿勢を保ちます。外出中、乗り物の中でめまいを起こした場合は、できるだけ早く降りて安静にしましょう。

・助けを呼ぶ

激しいめまいで動けない状態のときや、道路横断中など危険な場所でめまいが起こった場合などは、周囲の人に助けを求めましょう。

・薬を飲む

医師から処方された常備薬がある場合は、薬を飲んで症状が落ち着くのを待ちましょう。

・運転をやめる

めまいがある間は運転をしてはいけません。運転中にめまいが起きた場合は、できるだけ早く車を停めましょう。

・ツボを押す

ツボを押すことで、めまいの症状が軽くなることがあります。

平衡感覚を戻す:

完骨(かんこつ)・・・耳の後ろにある出っ張った骨の下

頭竅陰(あたまきょういん)・・・耳の後ろにある出っ張った骨の上

血流を整える:

外関(がいかん)・・・手首のシワの中央から指3本分下

百会(ひゃくえ)・・・頭頂部

3.日常生活に潜むめまいの危険因子

日常生活に潜むめまいの危険因子にはいろいろなものがあります。生活習慣に関連する病気でめまいの原因となるものに、メニエール病や突発性難聴、高血圧症などがあります。以下の項目に思い当たるものがあれば修正を心がけ、めまいにつながる行動を控え、予防に努めましょう。

・運動不足

運動習慣がないと、血行が悪くなり、めまいの原因となる可能性があります。ストレッチやウォーキングなどを取り入れてみましょう。

・ストレス

ストレスは自律神経を乱し、メニエール病や突発性難聴の原因となり、めまいを引き起こす可能性があります。趣味や軽い運動などをすることで、ストレス解消を図りましょう。

・不規則な食事

栄養が不足すると血行不良となり、めまいが起こりやすくなります。できるだけ決まった時刻に食事を取るようにしましょう。肥満や塩分の取り過ぎは高血圧になる危険性があるので、バランスの良い食事で食べ過ぎに注意しましょう。

・喫煙

ニコチンが血管を収縮させるため、血流が悪くなり、めまいが起こりやすくなります。

・大音量での音楽鑑賞

・質の良い睡眠が取れていない

睡眠不足は自律神経を乱し、浮動性めまいの原因となります。就寝・起床時刻を定め、生活リズムを整えましょう。

・体の冷え

エアコンや薄着で体が冷えると、血行が悪くなり、めまいを起こす可能性があります。上着を着るなど、体を冷やさない工夫をしましょう。

・カフェインの取り過ぎ

コーヒーや紅茶、栄養ドリンクなどを飲み過ぎると、カフェインの作用で興奮したり、夜間トイレに起きたりして、睡眠不足の原因となり、めまいにつながります。

・過度の飲酒

お酒を飲み過ぎると、脳の機能が低下し、生活リズムも乱れがちになります。適量を心がけましょう。

4.めまいと共に現れたら危険な症状

めまいの多くは、安静にしておけば自然に治まっていきます。

しかし、命に関わるような「危険なめまい」もあります。「めまいと共に現れたら危険な症状」というものがいくつかあります。

危険な症状を伴う場合は、迅速な対応が必要となります。危険な症状とはどのようなものか事前に知っておくと、突然「危険なめまい」が起こったときにスムーズに対応できます。

めまいと共に以下のような症状が見られる場合は、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、椎骨脳底動脈循環不全(ついこつのうていどうみゃくじゅんかんふぜん)など、脳の異常が考えられます。

この場合は、命に関わることも考えられますので、早急な処置が必要となります。様子を見るのではなく、すぐに救急車を呼びましょう。

  • ろれつが回らない
  • 気を失いそうになる
  • 手足がしびれる
  • 物が二重に見えるなど、普段と見え方が違う
  • 激しい頭痛・吐き気・耳鳴りがある
  • 顔面に違和感がある
  • 難聴がある

めまいは、よく見られる症状です。生活習慣を見直すことで改善できるめまいから、緊急を要するめまいまで、さまざまです。

めまいが気になりだしたら、まず原因を特定することが大切です。原因に応じた適切な治療を行うことで、めまいの症状を改善することができます。めまいは、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。

ご高齢の方のめまい

めまいは、年齢を重ねるにつれ、お悩みの方が増える症状の一つです。加齢によって体の機能が衰えたり、複数の持病があったりすることが原因で起こりやすい症状であるといえます。ご高齢の方のめまいは、若い方と比べて気をつけなければならないことがあります。

ご高齢の方のめまいは、原因となる病気に潜む危険性、症状が出た際の転倒などの二次損傷、原因が特定しにくいことなど、ご本人も周囲の方も気になる点がいろいろあります。

ご高齢の方のめまいの特徴や注意点を知っておくことは、ご高齢の方のめまいを治すためにとても大切です。このページでは、ご高齢の方のめまいを治すために、ご高齢の方のめまいについて詳しく説明しております。

1.ご高齢の方のめまいの特徴

ご高齢の方のめまいの特徴は、1カ月以上続く慢性のめまいが多いことと、原因となる病気を特定しにくいことです。

ご高齢の方でめまいにお悩みの方の多くは、「歳だから仕方がない」とあきらめてしまいがちです。また、ご本人がご家族に迷惑をかけたくないと、なかなか症状を訴えないといった傾向もあります。

めまいは、他の症状をともなっていることもあり、その組み合わせなどから、原因となる病気を特定する手がかりとなります。

しかし、ご高齢の方で複数の病気が重なっていたり、めまいの感じ方が典型的でなかったりすると、特定することがむずかしくなります。

めまいの特徴を大きく分類すると、「中枢性(ちゅうすうせい)」のものと「末梢性(まっしょうせい)」のものがあります。「中枢性」めまいは、小脳や脳幹など中枢神経系に原因のあるめまいです。「末梢性」めまいは、内耳などに原因があるめまいです。

めまいは、年齢が上がるにつれ、末梢性から中枢性の方が多くなっていきます。特に70歳以降では中枢性の割合が高くなります。高齢化社会の現在、小さな脳梗塞(のうこうそく)によるめまいを起こしている方が増加している可能性があります。

脳梗塞などの前兆として起こるめまいでは、命にかかわる危険性もあります。したがって、ご高齢の方がめまいを起こした場合、神経内科・脳神経外科も受診しておくことをお勧めします。

2.ご高齢の方のめまいを引き起こす要因

18e8bbbaご高齢の方はめまいを起こしやすくなります。めまいを引き起こす要因として考えられるものに、加齢による体の機能低下、病気、睡眠障害、薬の影響などがあります。

 平衡(へいこう)感覚の衰え

年齢を重ねると、耳や目からの情報が中枢神経にきちんと伝わりにくくなります。その結果、バランス感覚が乱れ、めまいを起こしやすくなります。

 血圧の調整力低下

ご高齢になると、血液を送り出すポンプの働きが弱くなり、脳内に充分な栄養や酸素が届かなくなります。そのために、血圧の調整がうまくいかず、めまいが起こりやすくなります。

座っている状態から立ち上がった際にめまいを起こす方がいらっしゃいます。血液が脚にたまり、脳への血流量が減るために起こる起立性低血圧です。このような症状は若い方でも起こりますが、ご高齢の方は、血圧が一旦下がってしまうと回復するのに時間がかかります。

 体内の水分不足

ご高齢の方は、のどのかわきを感じにくいことや夜間頻尿などを避けるために、水分をあまりとらない傾向があります。しかし、体内の水分が不足すると、血液が濃くなり血流が悪くなります。その結果、めまいや脱水の症状を起こしやすくなります。

 脳血管障害

血圧の変動や血行不良により、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が起こると、めまいの症状も現れます。

体に麻痺が起こらない程度の小規模な脳梗塞は、気がつかないうちに何度も起きている可能性があります。日頃から血圧異常や動脈硬化がある方は、めまいがおさまっても放置せず、脳神経外科などで検査を受けることをお勧めします。MRI検査を行うと、小さな脳梗塞がたくさん見つかることがあります。

 睡眠障害

睡眠障害もめまいを起こす原因と考えられます。うつ状態の方が抗うつ薬の効果で睡眠状態が良くなると、めまいが改善されたという例もよくあります。

 薬の影響

ご高齢の方は、いくつもの症状を抱えて、複数の薬を飲まれている方が多くいらっしゃいます。高血圧・狭心症・糖尿病・不安の薬、睡眠補助薬、抗生物質など、さまざまですが、薬の影響でめまいやふらつきの症状が現れることがあります。

たとえば、高血圧はご高齢の方に多い症状の一つです。血圧を下げるための降圧剤の服用により、一時的に血圧が下がりすぎ、めまいを起こすことがあります。

3.ご高齢の方のめまいで気をつけること

6e0322d0ご高齢の方のめまいで気をつけることは、日常生活の中にいろいろあります。めまいを起こさないための心がけ、めまいが起きたときの対処を日頃から考えておきましょう。

ご本人だけでなく、周囲の方も知っておく必要があります。

 めまいを起こさないために

  • 規則正しく栄養バランスの良い食事をとる
  • 飲酒は控えめにする
  • タバコは控えめにする
  • 充分な睡眠をとる
  • 運動や趣味で気分転換をする
  • のどのかわきを感じなくても水分補給を心がける

 めまいが起きたときの対処

  • めまいと同時に、「頭痛」「手足に力が入らない」「ろれつが回らない」などの症状をともなう場合は、命にかかわる危険性があるので、迅速に救急病院に搬送する
  • 緊急性がない場合は、めまいが軽くなるまで、安静にして気持ちを落ち着かせる
  • 処方薬がある場合は、とんぷく薬で症状を抑える

また、症状が出た際に転倒など二次的な損傷がないよう、めまいと上手につきあっていくための対策もしておきましょう。ご本人の心がけと周囲の方の協力が必要です。

ご本人も周囲の方に遠慮せず、症状や要望についてきちんと伝えましょう。そのことにより周囲の方も必要な対策が分かり、症状の改善の早道となります。

年齢を重ねてくると、筋力や関節の柔軟性が衰えてくるため、めまいを起こして体のバランスを崩した際に転倒してしまうことがあります。転倒によりケガや骨折をすると、しばらく動けなくなり、それがきっかけで寝込みがちになる可能性もあります。このような状況は防ぎたいものです。

階段・トイレ・浴室に手すりをつける、部屋の段差をなくす、外出時には杖を使うなど、ふらついたときに支えとなるものを備えておきましょう。また、日頃から適度な運動をして筋力をつけておくことも、転倒を防ぐ手段となります。

ご高齢の方の急性のめまいは、若い方と比べて重症化する傾向があります。ふらつくタイプのめまいには、毎日のリハビリが効果的です。めまいの症状が出たときの身のこなし方を訓練することになり、筋力強化にもつながります。

ご高齢の方は、ご家族や周囲の方に迷惑をかけないようにと我慢され、ご自分から症状を訴えない場合があります。ご家族や身近な方は、常にご高齢の方に目を配り、状況を把握しておく必要があります。いつもと様子が違うときには、即座に対応できるようにしておきましょう。

ご高齢の方のめまいに対しては、周囲の方との連携が非常に大切です。ご本人だけに任せるではなく、日頃から健康管理を共有しておくことが、いざというときに役立ちます。あきらめずに治療をなさることが大切です。

めまいの原因

めまいは、体のバランス感覚をつかさどる部位に障害が生じることによって起こります。めまいの原因の多くは、何らかの病気からきていることが考えられます。めまいは、よく見られる症状の一つですが、重大な病気がかかわっていることもあります。

めまいの特徴などから、原因となっている病気を特定できれば、治療方法も決まっていきます。めまいの原因に応じた適切な治療を行うことにより、めまいを治すことが可能となります。

めまいを治すためには、めまいの原因となる病気について知ることがとても大切です。このページでは、めまいを治したい方のために、めまいの原因について詳しく説明しております。

1.めまいの種類と特徴

f02db5a2めまいの種類は、大きく分けて3つあります。めまいの種類と特徴についてご説明します。

・回転性めまい

文字通り、回転しているかのように目が回るめまいです。自分自身や自分の周りがぐるぐる回転している感覚にとらわれ、気持ちが悪くなり吐き気を感じることもあります。

・浮動性めまい

柔らかい地面やプールの中を歩いているような、ふわふわと浮いた感じがするめまいです。バランスがとれず、まっすぐ歩けなくなり、転倒してしまうこともあります。程度が重い場合は、頭痛や手足のしびれが同時に出現します。

・立ちくらみ

急に立ち上がるなど体勢を変えた際に、目の前が真っ暗になるのも、めまいの一種です。一時的に血流が悪くなることにより起こるもので、血圧とも関係があります。起立性調節障害の子どもさんや低血圧の方に見られやすい症状です。一過性の症状ではありますが、日ごろの生活習慣や食事、ストレスの蓄積などを見直す必要があります。

2.耳の疾患に起因するめまい

d16ea83bめまいの原因として最も多いものは耳の疾患によるものです。

耳には音を聞く以外に体のバランスを保つ働きがあるため、耳に異常があると、めまいを生じることがあります。

同じめまいを繰り返すことが多いと言われます。同時に耳鳴り、難聴、耳がつまった感じなどが現れますが、めまいが軽減されると、これらの症状も軽くなっていきます。

・良性発作性頭位めまい

横になっていて急に起きたり、頭の向きを変えたりする際に起こる、回転性めまいです。原因は、内耳にある前庭器官(ぜんていきかん)というバランス感覚に関する部位の異常です。良性発作性頭位めまいの場合は、耳に原因があっても耳鳴りや難聴をともなうことはありません。

前庭器官の中には耳石(じせき)という炭酸カルシウムがありますが、それが定位置から動いてしまうと半規管(はんきかん)に刺激を与え、めまいを起こすと言われています。反復動作(上半身を起こす、頭の向きを変えるなどの動きを繰り返す)をすることによって、数十秒で症状はおさまります。

・メニエール病

めまいの原因としてよくあがり、男性よりも女性が発症しやすい病気です。40歳以上の方に多く発症する病気ですが、60歳以上の方は、メニエール病でめまいを起こすことはほとんどありません。

メニエール病で生じるめまいは症状が重く、30分~6時間ほど続きます。同時に難聴や耳鳴りなどの症状も引き起こします。めまい発作を何度も繰り返します。原因は、内耳のリンパ液が増えすぎて内耳がむくみを起こすことによります。

・内耳炎

内耳は耳の奥にある部位です。中耳炎や髄膜炎などの急激な悪化によって内耳炎を起こすと、激しいめまいに襲われます。炎症の影響で、内耳の「音を聞く働き」や「バランス感覚」に異常が起こり、その結果、めまいや耳鳴りが起こるのです。

・聴神経腫瘍

前庭神経に腫瘍(しゅよう)ができる病気です。聴神経腫瘍そのものは良性の腫瘍ですが、発生箇所や大きさによって神経を圧迫し、めまいを起こすことがあります。めまいの症状は比較的軽いものです。

・突発性難聴

強いストレスを受けることによって発症すると言われていますが、その約半数はめまいの症状をともないます。

3.脳の疾患に起因するめまい

b49da10c脳の疾患があると、充分な血液が脳に行き渡らなくなり、めまいを引き起こす原因となります。

脳の疾患が原因でめまいが起こる場合、経験したことのないめまいであることが多く、耳鳴りや難聴、耳がつまった感じはほとんどないと言われています。

・一過性脳虚血発作(のうきょけつほっさ)

めまいの原因となる脳の疾患の中で最も多いのが一過性脳虚血発作です。めまいとともに、片側の手足や顔面のしびれ、麻痺、言語障害などが一時的に現れます。症状は一過性ですが、48時間以内に脳梗塞が起きる可能性が高いので、放置せず、病院を受診しましょう。

・椎骨(ついこつ)動脈、脳底動脈などの血流不全

これらの血管は首から脳に続く箇所にある大きな動脈で、ここに血流不全が生じるとめまいが起こります。早朝起床時、睡眠中、トイレの後、入浴後などに起こりやすいと言われています。めまいは2030秒でおさまります。主に動脈硬化が原因と考えられます。また、首の骨格や筋肉に歪みなどの問題があると、血流が悪くなる場合があります。

・脳梗塞・脳出血

脳に血液が回らないことで起こり、生命にかかわる緊急性の高い病気です。脳梗塞・脳出血によってバランス感覚が障害を受けて起こるめまいは、20分~3時間ほど続きます。めまいに限らず、しびれ、言葉が出ないなどの症状がある場合は、脳梗塞・脳出血を疑い、至急、救急車を呼んでください。

・てんかん

てんかんが原因で起こるめまいは、耳鳴りをともないます。めまいは20秒以内に自然におさまります。

4.全身性・その他の疾患に起因するめまい

6e0322d0耳や脳の疾患だけでなく、全身性の疾患やその他の疾患、薬の副作用が原因となって起こるめまいもあります。

・低血圧・貧血・冷え性

これらは特に女性に多い症状で、めまいを誘発することがあります。背景に月経に関する問題(月経過多・月経不順・子宮筋腫など)をかかえている場合があります。

・血圧の変動

血圧の調節がうまくいかず血圧の変動が大きくなると、脳に酸素や栄養が充分に行き渡らず、めまいの原因となります。ご年配の方は、血圧の調節能力が衰え、急に立ち上がった際に血圧が下がり、起立性低血圧の状態になりやすく、めまいを起こす原因となります。

・更年期障害

めまいは更年期における代表的な症状です。

・自律神経の不調・過労・精神的ストレスの蓄積

生活習慣の乱れが血液の質や血流を悪くする可能性があり、めまいの原因となることもあります。

・栄養不足

偏食や誤ったダイエットなどによって栄養不足の状態になると、めまいを引き起こすことがあります。

・治療薬

高血圧の治療薬である降圧剤や、糖尿病の治療薬、抗生物質などの服用が原因で起こるめまいもあります。これらの薬は、病気の治療のために必要なもので、原因は明確であり、予測できる範囲内のものです。場合によっては、病気の治療終了後、何年も経ってめまいの症状が出ることもあります。

・脱水症状

脱水状態になると、血液の粘度が増して血流が悪くなり、めまいの原因となります。

めまいは、生命の危機をともなう場合もあります。めまいの原因に応じて、最適な治療法を選択することが大切です。めまいは、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。

めまいの治療方法

めまいの治療方法は、めまいの原因がどこにあるのかを明確に把握する必要があります。めまいは何かの疾患からきている症状のひとつなのです。めまいには特徴があり、元となっている病名を特定する手がかりとなります。

めまいの治療方法では、めまいの特徴、元となる疾患は何か、めまい以外の症状があるか、緊急性があるか、といったことがポイントです。めまいが起こる原因は、主に耳の病気、脳の異常、それ以外では貧血や低血圧なども考えられます。

めまいの治療方法を事前に知ることは、めまいを治すためにとても大切です。このページでは、めまいを治したい方のために、めまいの治療方法について、めまいを引き起こす原因となる疾患別に、詳しく説明しております。

1.良性発作性頭位変換性めまい

d3ea0ba8

良性発作性頭位変換性めまいは、多くの方が経験する疾患です。

耳の奥にある前庭神経(ぜんていしんけい)には耳石(じせき)というカルシウム成分のものがあり、はがれて三半規管へと入り込むことから、めまいを引き起こします。

治療は耳鼻咽喉科が専門で理学療法によります。具体的には、耳石を本来の位置に戻すことが目的です。ベッドに横たわった状態から上半身を起こし、同時にめまいのする方向に頭を動かすことで、耳石の位置を調整します。

症状の程度により吐き気などもある場合は、内服薬が処方されます。何度か通院し治療を施すことで、めまいの症状は軽減されることがほとんどです。治療方法がわかれば、自宅でご自分だけで試すこともできます。

2.メニエール病

9585c3f1

メニエール病は、内耳でリンパ液が過剰になることから起こります。回転性の強いめまいが生じて吐き気も伴います。

また、耳がつまった感じや耳鳴りがすることもあります。

症状が起こる頻度は、1週間に一度から数か月に一度と個人差がありますが、繰り返すのが特徴です。

めまいの激しさから、救急車で運ばれる場合もあります。治療方法は、対処法として嘔吐やめまいを抑えるための点滴、あとはビタミン剤や抗めまい薬などを内服します。

ストレスなど精神的なことが原因のケースも多々あり、不安を抑える薬や自律神経を整える薬も適用されます。

メニエール病では、情緒の安定が戻れば、めまいの発作も起こらなくなります。しかし回復するまでに、まとまった期間を要することが想定されます。薬を長期間にわたり服用しながら、必要であれば精神科や心療内科でのカウンセリングも施します。

3.突発性難聴

fdd5a441

突発性難聴は、病名通り突発的に発症するのが特徴です。明らかな聴こえ方の異常が認められ、48時間以内に治療を開始することが肝心です。

唐突に症状が出るため戸惑いますが、ためらわず緊急の医療センターなどで診てもらうのが良いでしょう。

聴力検査で病状をみながら、血管の拡張や血流の改善を試みます。

治療に取りかかるのが、早ければ早いほど完治する可能性が高いとされます。放置してしまうと難治性の治療をする必要が出てきます。

4.内耳炎

c7de52e2

内耳炎は、内耳が炎症を起こした状態です。耳鼻咽喉科で診てもらえば、比較的診断がつきやすい疾患です。

急性的に細菌の感染症からきている場合は、抗生物質を投与することで対処します。

炎症が長引くと、難聴につながる可能性がありますので、早急な処置が肝心です。

内耳の機能を回復させるために、ステロイド剤やビタミン剤、血流を改善させる薬を使います。内耳炎が慢性的なもので、瘻孔(ろうこう)といった穴があいた状態であれば、外科手術で穴をふさぎます。

また耳小骨(じしょうこつ)が壊れている場合も、人工の骨を用いて修復します。

5.聴神経腫瘍

8201558b

聴神経腫瘍では、発作的な強いめまいが出現します。

治療の目的は、聴覚野への情報伝達を妨げている腫瘍を取り除くことです。

腫瘍そのものは悪性ではないのですが、成長すると脳幹の機能に悪影響を与えます。

6.一過性脳虚血発作

8efeb844

一過性脳虚血発作とは、脳内の血液循環が悪くなることから起こります。

めまいは症状のひとつであり、手足が動かない、あるいはしびれる、ことばが出てこない、といった別の症状もあります。

発作は数分から1時間以内で治まるため、放置される方が多いといいます。

医療機関で検査をしても、画像診断では何も認められないことがほとんどです。しかし脳梗塞や脳卒中の「前触れ」といわれるのが一過性脳虚血発作です。実際に、その後48時間以内で脳梗塞を起こしているケースが、全体の2、3割という報告があります。

一過性脳虚血発作の症状が出た場合は、収束しても脳神経外科や総合病院などを受診することが大切です。とくに動脈硬化や循環器系の持病がある方は、気をつける必要があります。

7.脳梗塞、脳出血

b49da10c

脳梗塞、脳出血は、前述しました一過性脳虚血発作と症状は同じですが、こちらは命に係わる疾患です。

重症ですと、症状が出て数分のうちに対処する必要があります。迷わず救急車を呼び、緊急対応をしてください。

軽度の症状であれば、薬物投与で済みますが、程度によっては外科手術を行うこともあります。また術後に後遺症が残らないよう、リハビリテーションなどを実施します。再発防止のため、基本的な生活習慣の見直しや食事指導なども行います。

8.起立性低血圧

kiritumemai

起立性低血圧は、急に立ち上がった時などに血圧が低下することによって、めまいやふらつくといった症状が出ます。

日常生活の中でよくあることですが、もともとの体質が関与しているともいえます。

とくに女性は低血圧や貧血である場合が多く、起き上がる時や姿勢を変える際に、めまいやふらつきが起こる可能性は男性よりも高くなります。

即効性のある治療方法はないので、なるべく症状が出ないよう日頃から予防するのが治療のひとつです。

血圧は定期的に測り、健康診断での血液検査の値(赤血球やヘモグロビンなど)はチェックしましょう。バランスのとれた食事をとり、また鉄剤やビタミン剤、漢方薬などを服用して栄養を補うなど、良質な血液が保てるよう心がけましょう。

めまいの治療方法は、起因する疾患により変わってきます。何が原因か見当がつかないという方は、まず詳細な検査をすることから始めます。原因さえ明確になれば、治療方法は確立されています。どうぞあきらめず、最適な治療方法を見つけてください。