HOME > 外科系疾患治療方針

ぎっくり腰を治すために

ぎっくり腰は急性の腰痛症の一つで、突然、腰部に驚くほどの激しい痛みが生じ、動けなくなってしまう症状です。そのため、症状が落ち着くまでは日常生活に支障があります。

ぎっくり腰は経験された方が多く、珍しい症状ではありません。ぎっくり腰を経験したことがなくても、日常的に聞く言葉であり、どのようなものか知っている方が多いでしょう。

ぎっくり腰は年配の方に起こるものと考えられてきましたが、若い方がくしゃみをしただけでぎっくり腰になったというケースもときどき見られます。腰に強い負担がかかることや、日ごろの姿勢の悪さなどが影響するようです。

ぎっくり腰は自然治癒する症状ですが、いったん治っても再発しやすいと言われます。発症した直後の痛みは非常につらいもので、できるだけ早く治したい、予防したいと誰もが思うでしょう。

ぎっくり腰を治すためには、ぎっくり腰の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、ぎっくり腰を治したい方のために、ぎっくり腰の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.ぎっくり腰とは

ぎっくり腰とは、突然、腰部に身動きが取れないほどの激しい痛みが生じることです。それは重い物を持ち上げたときや、腰をひねったとき、くしゃみをしたときなどに起こります。

「ぎっくり腰」は俗称で、正式名を「急性腰痛症」と言い、「腰椎捻挫」と言うこともあります。「非特異的腰痛症」と表現されることもあります。

しかし「ぎっくり腰」という言葉の方がよく使われており、突然激痛が起こる様をよく表しています。正式名称を言われるより「ぎっくり腰」と言われた方がピンとくるのではないでしょうか。

ただし、急に腰に痛みを感じたからと言って、必ずしもぎっくり腰とは限りません。

ぎっくり腰であれば、数日から数週間で痛みも治まりますが、日数が経過しても症状に改善が見られない場合や、脚の痛みやしびれを伴っている場合は、圧迫骨折や椎間板ヘルニアの疑いもあります。

また、ぎっくり腰は自然治癒しますが、再発もしやすいと言われています。

2.ぎっくり腰の症状

ぎっくり腰の症状は、腰部に起こる突然の激痛です。ぎっくり腰は何の前触れもなく、突然激しい痛みに見舞われます。「不意打ち」といった感じで、その瞬間は息が止まるほどの強い痛みが走り、動けなくなります。

発症直後の痛み以外には、次のような症状があります。

  • 体を動かしたり、くしゃみをしたりすると腰が激しく痛む
  • 椅子に座ることができない
  • 仰向けに寝られない

ぎっくり腰の症状は2週間程度、長くても数週間で治まりますが、一度ぎっくり腰を発症した人は再発しやすいと言われています。

ただし、ぎっくり腰の症状として脚に痛みやしびれが出ることはありません。脚に症状が出たり、腰の症状がいつまでも治まらなかったりする場合は、ぎっくり腰ではない可能性があります。ぎっくり腰以外の病気ではないか、きちんと調べてもらいましょう。

3.ぎっくり腰の原因

ぎっくり腰の原因は、瞬間的に腰に強い負担がかかることです。次のような場面でそのような状況になりやすいと考えられます。

  • 重い物を持ち上げた
  • 腰をひねった
  • くしゃみをした

しかし、どのようなことをしているときにぎっくり腰になったかを尋ねると、特別なことをしていたわけではないと言われる方もいます。

同じ条件であっても、ぎっくり腰になる場合とならない場合があります。同じ姿勢を続ける仕事や、腰をよく使う仕事をしている人は、常に腰に負担がかかっているため、これらの状況が引き金となってぎっくり腰を起こしやすいようです。

また、次のような人は、日常的に腰に負担がかかり、ぎっくり腰になりやすいと言われています。

  • 姿勢の悪い人
  • 運動をあまりしない人
  • 肥満気味の人

ぎっくり腰の原因を見ると、ぎっくり腰は年齢の高い方だけの症状とは言えません。若い方でも起こりえます。腰に負担がかかりやすい仕事や生活をしていないか確認することが大切です。

また、日ごろあまり運動をしない人が急に運動をしたなど、慣れない動きをすることで腰に負担をかけたためにぎっくり腰を起こすこともあります。

ぎっくり腰の原因となっている状況が改善されないと、再発する可能性が高くなります。腰への負担が大きい状態が続くと、腰痛が慢性化する可能性もあります。また、再発の回数が多い方は何らかの病気が隠れているケースもありますので、調べてもらいましょう。

4.ぎっくり腰の治療

ぎっくり腰の治療を行う際は、まず、圧迫骨折や椎間板ヘルニアなど他の病気ではないことを確認してから行います。治療法が異なるからです。ぎっくり腰と他の病気を判別するために、痛む部分や発症したときの状況を正確に伝えましょう。

ぎっくり腰なのか、他の病気による腰痛なのかを判断するために画像検査も行います。ぎっくり腰の多くは画像検査に異常は認められないので、画像検査は他の病気の可能性を否定するために行われます。

ぎっくり腰は時間の経過とともに自然治癒することが多いのですが、適切な治療をして少しでも早く元の生活ができるようにしたいものです。ぎっくり腰の治療として次のようなものがあります。

1)安静

ぎっくり腰の治療では、痛みが落ち着くまではまず安静にすることが必要です。動けないほど痛みが激しいので、安静にせざるを得ないという方が正しいかもしれません。

ただし、長く安静にしすぎると回復が遅くなると言われています。激しい痛みが少し治まってくれば、普通に生活した方が早めに回復するようです。

2)鎮痛薬

強い痛みを抑えるために、鎮痛薬や湿布を使用します。鎮痛効果が高いのですが、飲み薬の場合、胃腸や腎臓への副作用があります。

3)神経ブロック法

神経あるいは神経周辺に麻酔薬を注射して痛みをやわらげます。

4)コルセットの着用

コルセットで腰を固定することで動きが楽になり、通常の生活をしやすくなります。

5)お風呂で温める

痛みが少し落ち着いたらお風呂で温めて、血行を良くしましょう。

ぎっくり腰はあまり不安に感じる必要はないのですが、激痛が走り、再発しやすいため、できれば予防したいものです。腰に無理な負担をかけていないかを確認して、ぎっくり腰の原因となるような状況を改善することが大切です。

日常生活に工夫を取り入れ、ぎっくり腰を予防しましょう。

  • 重い物を持つときは、腰を落として持つ
  • ウォーキングやストレッチ、腹筋運動、背筋運動、屈伸運動などを行う
  • 日ごろ行わない動きをするときは徐々に体を慣らす
  • くしゃみをするときは、背筋を伸ばし、膝を少し曲げて下を向いてくしゃみをする
  • 肥満にならないように食生活の改善をする
  • 前かがみばかりの姿勢にならないようにする

ぎっくり腰の多くは時間の経過とともに自然治癒するので、過剰な不安を抱く必要はありません。とは言え、突然身動きできないほどの激痛が走り、つらい思いをしますし、一時的ではありますが生活に支障をきたします。

ぎっくり腰は適切な治療と生活の工夫をすることで、回復を早めることができます。また、日常生活の改善で予防することや再発を防止することも可能です。どうぞあきらめないでください。

腰椎ヘルニア(腰部椎間板ヘルニア)を治すために

    腰椎ヘルニア(腰部椎間板ヘルニア)とは、腰椎(ようつい)の椎間板(ついかんばん)があるべき場所からはみ出し、周辺の神経を圧迫するために、腰やおしり、脚に痛みやしびれの症状が現れる病気です。

    腰椎ヘルニアは、悪い姿勢・動作や加齢が主な原因とされており、30~40代の方に多く見られるということです。ぎっくり腰の原因になるとも言われています。

    加齢により椎間板は徐々に劣化していくのですが、姿勢の悪い方や同じ姿勢を長く続けている方は劣化速度が速くなります。そうすると腰椎ヘルニアを発症する可能性が高くなります。

    事務や運転のお仕事をされていると、長時間座りっぱなしで作業を続けざるを得ません。また、スマホなどに夢中になって長時間同じ姿勢をとっている方も多いと思われます。

    腰椎ヘルニアは自然治癒することも多いのですが、悪化すると歩行困難や排尿排便障害へとつながるケースもあります。放置せず早く治療を開始すれば、腰椎ヘルニアは改善することができます。

    腰椎ヘルニアを治すためには、腰椎ヘルニアの症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、腰椎ヘルニアを治したい方のために、腰椎ヘルニアの症状・原因・治療について詳しく説明しております。

    1.腰椎ヘルニア(腰部椎間板ヘルニア)とは

    腰椎ヘルニア(腰部椎間板ヘルニア)とは、腰椎の椎間板が本来あるべき場所からはみ出して、周辺の神経を圧迫するために、腰や脚に痛みやしびれを引き起こす病気のことです。

    背骨のことを脊椎(せきつい)と言い、その部位によって頚椎(けいつい)・胸椎(きょうつい)・腰椎と言います。

    背骨を形成している一つ一つの骨を椎骨(ついこつ)と言いますが、椎骨と椎骨の間にあるのが椎間板で、クッションの役目を果たしています

    椎間板ヘルニアは椎間板がはみ出すことで痛みやしびれの症状を引き起こし、頚椎・胸椎・腰椎のどの場所の椎間板がはみ出したかによって、症状の現れる場所が違います。このうち腰椎に起こったものを腰椎ヘルニア(腰部椎間板ヘルニア)と言います。

    腰椎に起こる異常の中で、椎間板ヘルニアは最も多く見られる疾患で、ぎっくり腰の要因の一つと言われています。3040代の方に多く見られるということです。

    腰椎ヘルニアは、加齢による椎間板の劣化や悪い姿勢による椎間板ヘの負担が原因とされ、自然治癒することが多いのですが、悪化すると日常生活に支障をきたすこともあります。

    2.腰椎ヘルニア(腰部椎間板ヘルニア)の症状

    腰椎ヘルニアの症状は、腰痛と坐骨神経痛です。坐骨神経痛とは、お尻の痛み、太ももの後ろ側・すねの外側・つま先のしびれなどのことで、坐骨神経に沿って痛むのでこの名前があります。

    腰椎ヘルニアの症状は、活動時に悪化し安静時に軽くなる傾向があります。また、くしゃみや咳が出たときや、長時間座ったり運転したりしたときに強い痛みを感じることがあります。これは神経に大きな圧力がかかるためです。

    腰椎ヘルニアの症状の出る場所や強さは、どの椎間板がはみ出しているか、神経をどのくらい圧迫しているかによります。

    腰椎ヘルニアは自然治癒することが多いので、そのうち治るだろうと放置される方もいます。しかし、腰の痛みをかばうために姿勢が悪くなり背骨が曲がってくると、さらに悪影響を受けることになります。

    腰椎ヘルニアの症状が悪化すると、脚やつま先のしびれ・麻痺などが起こり、歩行障害・排尿排便障害といった深刻な状態となるケースもあります。症状が軽いうちに治療をして、早く治しましょう。

    3.腰椎ヘルニア(腰部椎間板ヘルニア)の原因

    腰椎ヘルニアの原因は、主に悪い姿勢・動作、加齢などがあります。

    (1)悪い姿勢・動作

    腰椎ヘルニアの最も大きな原因として、悪い姿勢・動作が挙げられます。長時間、同じ姿勢や同じ動作を続けることで、特定の椎間板に大きな負担をかけることになるのです。

    事務や運転など長時間の座り仕事、うつぶせ寝、ハイヒールなどが原因となります。前かがみの姿勢は体重の2倍以上の圧力を椎間板にかけてしまうと言われています。

    また、腰椎ヘルニアの治療を行わずに痛みを我慢していると、その痛みをかばうために姿勢が悪くなり、またそれが原因で痛みが悪化するという悪循環となります。

    (2)加齢

    加齢により椎間板は劣化し、平たくなって弾力がなくなっていきます。そのため、無理な姿勢や動作の影響を受けやすくなります。

    (3)その他

    • 遺伝要因:骨の形、体質
    • 栄養:偏食や極端なダイエットなどによるカルシウム不足
    • ストレス
    • 喫煙

    4.腰椎ヘルニア(腰部椎間板ヘルニア)の治療

    腰椎ヘルニアの治療を始めるには、問診と検査を行い、症状の部位と程度を確認します。検査には次のようなものがあります。

    • SLRテスト(下肢伸展挙上テスト):腰椎下部の検査
    • FNSテスト(大腿神経伸長テスト):腰椎上部の検査
    • 筋力検査
    • 感覚検査
    • 画像検査:レントゲン、CT、MRI

    腰椎ヘルニアは、安静にして痛み止めを使用することで多くの場合、改善します。改善されない場合は、ブロック注射、さらには手術を行います。手術を行わない治療法を保存療法と言います。

    (1)保存療法

    ①安静療法

    症状を悪化させないように、腰椎コルセットをつけて安静にします。

    ②温熱療法

    ホットパックや赤外線照射によって筋肉の凝りをほぐし、血液の循環を良くします。

    ③腰部マッサージ

    血行を良くしたり、筋肉を刺激したりします。

    ④薬物療法

    鎮痛消炎剤筋弛緩剤ビタミン剤などで炎症を抑えます。

    ⑤牽引療法

    ⑥ブロック療法

    (2)手術

    保存療法で改善が見られない場合は手術を行います。

    ①切開手術

    「直視下」「顕微鏡下」「内視鏡下」でヘルニアの部分を切除します。

    ②レーザー治療

    原因となっている椎間板に針を刺して、レーザーを照射し、椎間板を収縮させることで神経の圧迫を軽減します。切開手術に比べて負担の小さい治療法です。

    (3)日常生活の見直し

    腰椎ヘルニアは、悪い姿勢が原因となって椎間板に負担をかけていることが多いので、日頃の過ごし方を少し見直すことは、予防や症状の改善に役立ちます。

    • 意識して正しい姿勢を保つ
    • 座って作業をするときは、ときどき体を動かす
    • ものを持ち上げるときは、腰を落として体に寄せてから持ち上げる
    • できれば、かかとの低い靴をはく
    • ストレッチなどで体を柔らかくする
    • ウォーキングなど軽い運動をして血行を良くし、筋力をつける
    • 体重が増えすぎないようにする

    腰椎ヘルニアは自然治癒することが多いのですが、放置して悪化すると、歩行や排尿・排便が困難になることがあります。できるだけ早く治療を開始することで、つらい症状に長期間悩まなくて済みます。

    腰椎ヘルニアの治療法や日常でできる工夫がいろいろあります。腰椎ヘルニアは、適切な治療をすれば改善する病気です。どうぞあきらめないでください。

    テニス肘・ゴルフ肘を治すために

    テニス肘・ゴルフ肘とは、その名のとおり、テニスやゴルフをされる方に多く見られる肘関節の病気です。テニス肘は腕の外側、ゴルフ肘は腕の内側に痛みを感じます。

    テニス肘・ゴルフ肘といっても、テニスやゴルフ以外のスポーツや作業が原因となっている場合もあります。テニスのプレーヤーがゴルフ肘を発症することもあるのです。

    テニス肘・ゴルフ肘は、腕の使いすぎや無理な動きによって負担がかかることが原因となって起こるもので、腕の外側に起こるものをテニス肘、内側に起こるものをゴルフ肘と言います。

    テニス肘・ゴルフ肘になると、テニスやゴルフのプレーだけでなく、日ごろ無意識に行っている簡単な動作でも痛みを感じるようになります。好きなスポーツを中断したり、仕事に支障が出たりとさまざまな影響が出てきます。

    今までできていたことが痛みのためにできなくなることは、ご本人にとって悔しいことでしょう。しかし、テニス肘・ゴルフ肘は、安静と適切な治療で治すことができます。また、予防対策もあります。

    テニス肘・ゴルフ肘を治すためには、テニス肘・ゴルフ肘の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、テニス肘・ゴルフ肘を治したい方のために、テニス肘・ゴルフ肘の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

    1.テニス肘・ゴルフ肘とは

    テニス肘・ゴルフ肘とは、肘関節の病気です。腕の使いすぎや負荷のかけすぎによって、上顆(じょうか:肘の外側あるいは内側の骨の隆起部分)に付いている筋肉が損傷し、肘から前腕にかけて痛みを生じます。

    肩から肘までを上腕、肘から手首までを前腕と言います。外側上顆には手首を甲側に反らす筋肉が付いています。内側上顆には手首を手のひら側に曲げる筋肉が付いています。

    テニス肘・ゴルフ肘は、テニスやゴルフをする人によく見られるため、このように呼ばれていますが、正式な病名があります。

    • テニス肘:上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)
    • ゴルフ肘:上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)

    テニス肘は、手首を甲側に反らすと、肘から前腕の外側にかけて痛みがあります。テニス肘はテニスの練習のしすぎで発症することが多いのですが、テニス以外にも腕を酷使するようなスポーツや作業でも発症します。30代後半~50代の方に多く見られるということです。

    ゴルフ肘は、手首を手のひら側に曲げると、肘から前腕の内側に痛みがあります。これもやはり、ゴルフだけでなく野球ややり投げなどのスポーツ、手をよく使う作業などでも発症します。

    2.テニス肘・ゴルフ肘の症状

    テニス肘・ゴルフ肘の症状は、物を持ち上げたり、手に力を入れたりしたときに痛みが生じることです。

    テニス肘では手を甲側に反らしたとき肘から前腕の外側が痛み、ゴルフ肘では手を手のひら側に曲げたときに肘から前腕の内側が痛みます。

    テニス肘・ゴルフ肘になると、テニスやゴルフのプレーをするときはもちろん痛みます。一般的に安静時には痛みを感じないようです。

    タオルを絞ったり、ドアノブを回したりすることは何気ない日常の動作ですが、テニス肘・ゴルフ肘になると、このようなことでも痛みが走り、簡単にはできなくなります。

    テニス肘・ゴルフ肘の症状の程度はさまざまですが、軽い痛みだからそのうち治るだろうと放置しておくと、症状が悪化することがあります。どのような動きをしたときに痛むのか、腕の外側が痛むのか内側が痛むのかを知って早めに対処することが大切です。

    3.テニス肘・ゴルフ肘の原因

    テニス肘・ゴルフ肘の原因は、腕の使いすぎや負荷のかけすぎです。そのことにより、手を曲げたり伸ばしたりする筋肉に障害が生じているのです。

    テニス肘・ゴルフ肘という名前のとおり、テニスやゴルフがこの症状の原因となっていることが多いのですが、他に手や腕を酷使する作業も原因となりえます。

    (1)テニス肘の原因

    • テニスのバックハンドストローク
    • テニスラケットのガットを強く張りすぎている
    • テニスでボールを打つタイミングが合っていない
    • 長時間のパソコン入力
    • 肩や前腕の筋肉が弱い
    • 介護などの力作業

    (2)ゴルフ肘の原因

    • ゴルフの打ち方が悪い
    • 野球のピッチング
    • やり投げ
    • テニスで強いサーブを打つ
    • タイピング

    このように、さまざまな動きが腕や手首に負担をかける原因となりえます。治療を受けて治ったあとも、原因となった動きにきちんと対処しなければ再発する可能性があります。何が原因でテニス肘・ゴルフ肘を発症したかを知ることが大切です。

    4.テニス肘・ゴルフ肘の治療

    テニス肘・ゴルフ肘の治療を開始するためには、まず診断が必要です。テニス肘・ゴルフ肘の診断には次のようなテストがあります。

    これらのテストは痛みを誘発するテストで、痛みがあると陽性ということになります。

    テニス肘では、以下のテストをいずれも肘を伸ばした状態で行い、痛みがあるかを見ます。

    • Thomsen(トムセン)テスト:手首を曲げられた状態から手首を反らす
    • Chair(チェア)テスト:いすを持ち上げる
    • 中指伸展テスト:中指を抑えられた状態から中指を伸ばす
    • ゴルフ肘では、以下のテストで痛みの有無を確認します。
    • リストフリクションテスト:抵抗をかけられた状態で手首を内側に曲げる
    • フォラームプロネーションテスト:抵抗をかけられた状態で前腕を回転させる

    これらのテストでテニス肘、あるいはゴルフ肘という診断が下ったら治療を開始します。

    テニス肘・ゴルフ肘の治療には、まず安静が必要です。原因となっている動きはもちろん、腕に痛みを感じるような動きは控えなければなりません。テニス肘・ゴルフ肘の治療は、基本的にはどちらもほぼ同じで、保存療法、手術療法があります。

    (1)保存療法

    テニス肘・ゴルフ肘は多くの場合、保存療法だけで改善します。

    ①ストレッチ 腕や手首、指のストレッチを行います。

    ②湿布・塗り薬 炎症を抑えます。

    ③注射 痛む部位に、局所麻酔や注射をします。

    ④肘サポーター 仕事などを休めないときに、痛みを軽減するのに役立ちます。

    ⑤レーザー光線

    (2)手術療法

    テニス肘の手術には筋膜切開術、切除術、ゴルフ肘の手術には瘢痕(はんこん)組織の除去、損傷組織の除去などがあります。保存療法で改善が見られない場合に手術を行うことになりますが、非常にまれなケースだということです。

    (3)予防対策

    テニス肘・ゴルフ肘を予防するには、原因となる動作ヘの対策が必要です。

    • ストレッチ
    • 肘サポーターの使用
    • 適切なラケットの使用
    • 手首の筋力トレーニング
    • プレー後の肘の冷却

    テニス肘・ゴルフ肘は、腕に無理な負担がかかっているために起こるもので、安静にすることが重要です。その上で治療を行いましょう。また、治ったあとも再発しないために、原因について対策を考えることが大切です。

    仕事の都合などでどうしても休めない方は、肘サポーターの使用や注射で痛みを軽減することも考えられますが、回復までに時間がかかると思われます。

    すべての動きを中断することはできませんが、なるべく安静を心がけ、早くテニス肘・ゴルフ肘を治したいものです。テニス肘・ゴルフ肘は、原因を見つけ治療を行えば改善する病気です。どうぞあきらめないでください。

    頸部脊柱管狭窄症を治すために

    頸部脊柱管狭窄症(けいぶせきゅうかんきょうさくしょう)は、脊髄(せきずい)の通っている管である脊柱管の中でも、主に頸部(けいぶ:首)で狭窄症が起こり、脊髄や神経の圧迫や変形により痛みなどの症状が出る疾患です

    頸部は、頭を支え脳につながる重要な部分です。頸部脊柱管狭窄症は、日常的な習慣や仕事柄、また何らかの衝撃や外傷を首に負ったり、生まれつきの体型によっても発症しやすくなります。

    症状は急に進行するわけではなく、すぐに気づかない場合もあります。とくに肩こりや首こり、頭痛といった初期の症状は軽く考えてしまいがちで、頸部脊柱管狭窄症の病名に結びつかないものです。

    頸部脊柱管狭窄症を治すためには、頸部脊柱管狭窄症の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、頸部脊柱管狭窄症を治したい方のために、頸部脊柱管狭窄症の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

    1.頸部脊柱管狭窄症とは

    頸部脊柱管狭窄症とは、頸部の脊柱管が何らかの影響を受け、圧迫されたり変形することで痛みやしびれが出る疾患です。脊柱管狭窄症には、患部によって「腰部脊柱管狭窄症」と「頸部脊柱管狭窄症」があります。

    症状を訴えられる年齢層は中高年の方が中心ですが、30歳代や若い方にも起こり得るものです。体当たりするレスリングやボクシング、柔道といった格闘技をされている方や事故などにより衝撃を受ければ、発症のリスクは高まります。

    首には頸動脈という主要な血管が走っており、頭部と胴体とをつなぐ役目があります。常に安定させ、外傷や外部からの強い圧力がかからないよう守る必要のあるデリケートな部位であるといえます

    2.頸部脊柱管狭窄症の症状

    頸部脊柱管狭窄症の症状は、首まわりや肩、腕から手にかけての上半身にあらわれます。うなじから首筋にかけての強い張りやこり、痛みなどは初期の症状です。

    「寝違えたかな?」と思ったり、疲れが溜まっていると考え、放置することも多いでしょう。

    腕の外側から手の中指や薬指、小指にかけて、しびれたり痛みが走ることもあります。握力が次第に低下し、何かものを握った時に力が入らず落としてしまうなどの状況が増えると要注意です

    首をまわしたり横を向いたり、上を見上げる、後ろに反らすなど動かしてみると、痛みはかえってひどくなる場合があります。症状は最初に、右側か左側のどちらか一方に出るのが一般的です

    片側の肩や腕に出現した症状は、やがて両側に及びます。重症化していくと、ごはんを食べる時に箸が持ちにくい、指先が思うように動かず服のボタンがうまくとめられない、小さなモノがつかめないといった状況が出てきます。

    しびれや痛みの症状は上半身ぜんたいに拡がり、さらに歩くと足がもつれる「歩行困難」や「排尿・排便時の障害」など下半身にまで出ることもあります。徐々に進行していき慢性化しやすいので、初期の症状が現われた時点で対処するのが得策といえます

    3.頸部脊柱管狭窄症の原因

    頸部脊柱管狭窄症の原因として直接的には、脊柱管が狭くなり脊髄や神経、血管などを圧迫していることです。脊柱管に狭窄症が起こるきっかけには、さまざまなことが考えられます。下記にまとめてみました。

    1)先天的な頸椎の形状

    生まれつき脊柱管が狭かったり、椎間板の変形がある、あるいは骨や靭帯が突出している場合、頸部脊柱管狭窄症を発症しやすくなります。体質や骨の形には、遺伝的な要因があるといえます。

    2)加齢による影響

    骨や靭帯などの繊維組織は、年齢が進むにつれ脆弱(ぜいじゃく)になります。老化はからだ全体で起きますので、たとえば腰が曲がり前かがみの姿勢になることで、首への負担も増えてきます。

    3格闘技や激しいスポーツなどの影響

    柔道やレスリング、ボクシングなどの格闘技や、ラグビーやサッカー競技でのヘディングなどでも、首にかかる外圧の負担はあります。

    4)交通事故などの後遺症

    追突事故などによるアクシデントでむち打ちや外傷を受けると、頸椎が強く圧迫され骨や靭帯への悪影響が出てきます

    時間がしばらく経過してから症状が出現するケースもあります。

    5)姿勢の悪さ

    とくに衝撃を受けなくても、日常的な習慣で姿勢が悪い場合も原因となります。最近ではスマートフォンやパソコンの使いすぎ、また仕事で長時間の下を向いた作業などは首への負担が大きくなります。

    4.頸部脊柱管狭窄症の治療

    頸部脊柱管狭窄症の治療には、症状の程度により複数の方法があります。頸部は頭部と胴体のつなぎめです。

    重要な血管や神経の通っている部位で、ダメージを受けるのは生命の存続を左右することにもなりかねません

    重症化した頸部脊柱管狭窄症では、外科手術という手段もあります。しかし、なるべく別の方法を選択できるよう、症状の軽いうちに対処していくのが賢明です。手術ではない有効な「保存療法」について、下記にまとめました。

    1)薬物療法

    狭窄となっている箇所では血流の滞りが認められ、痛みも生じやすくなります。痛みがひどく日常生活に支障をきたす場合は、鎮痛剤を用います。対処療法ですが、当面の痛みを抑えることはできます。

    2)温熱療法

    頸部脊柱管狭窄症では、痛みがある箇所を中心に温めるのが効果的です。温湿布や温めたタオルを用いたり、熱を発するホットパックを塗布するなど、温度が熱くなりすぎないよう気をつけながら血流を促します。

    温熱療法は、血流の改善が見込まれること以外にも、硬直した筋肉をほぐす、気持ちがリラックスし副交感神経が優位になるといった効果も期待できます。日常的には、首まわりを冷やさないようストールやマフラーなどを用いるのも良いでしょう。

    3)運動療法

    筋肉の硬化や血流の悪化に対しては、運動をして改善するのが基本です。ただし間違った方法や過度に行うことは、却って傷めてしまう可能性もあります。専門家がすすめる有効なストレッチや首の体操などを、ご自身にとってムリのないレベルで行いましょう。

    4)装具療法

    背後に反った姿勢になると痛みが走る場合などは、頸部コルセットのような医療装具をつけます。首全体を支え安定させることができ、痛みを感じないようにします。

    5)生活習慣の見直し

    姿勢の悪いまま長時間を過ごすのは、頸部脊柱管狭窄症を誘発することにつながります。日頃の姿勢の悪さを改善し、意識して首への負担を減らすことが肝心です。仕事で首を酷使される方も、休憩時間に首をまわす体操をするなど工夫をしてみましょう。

    頸部脊柱管狭窄症は放置するのでなく、早めの対処で治療の選択肢は拡がります。頸部の緊張状態を長く続けることは避けて、肩こりや首こりの症状は悪化する前に緩和させるのが得策です。

    頸部脊柱管狭窄症は原因を見つけ、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。