ADHDとは、発達障害の一種です。集中力がない(不注意)・落ち着きがない(多動性)・考えずに行動してしまう(衝動性)などの症状を示します。
ADHDは、幼児期に発症することが多い病気です。症状は大人になっても続く場合があるため、学業や人間関係に大きな影響を及ぼす恐れがあります。
ADHDの原因ははっきりわかっていませんが、脳の機能異常によるものではないかと考えられています。脳の機能異常に関係性があると考えられるものには、遺伝や環境があります。
ADHDを治すためには、ADHDの症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、ADHDを治したい方のために、ADHDの症状・原因・治療について詳しく説明しております。
1.ADHDとは?
ADHDとは、「注意欠陥・多動性障害(ちゅういけっかん・たどうせいしょうがい)」と呼ばれる脳に機能障害が起きる病気です。発達障害の一種で、女性より男性に多い傾向があります。
ちいさな子供さんのうちに発症する傾向がありますが、子供さんというものは元来元気に動き回り、大人の言うことをきかないものです。そのため、ADHDとは気づかれずに子供時代を過ごし、大人になってから気づくケースも多いと言われています。
ADHDの症状は、努力不足や怠けからきているものではありません。しかし、暗黙の了解や遠慮などが求められる社会生活の中では「出る杭」のように少し目立つ存在になってしまう恐れがあります。
しかし、ADHDの治療を子供さんの頃から開始すれば、高校生くらいには自分の特性や対処法を理解し、セルフコントロールできるようになると言われています。ご自分の苦手なことを理解し、治療を通じて訓練することで、ストレスのない穏やかな暮らしを手に入れることが可能です。
2.ADHDの症状
ADHDの症状は、不注意(集中力がない)・多動性(落ち着きがない)・衝動性(考えすに行動する)の3つの症状が特徴的です。
これらの症状は、短期間でおさまるものではないため、勉強や人間関係の構築などが困難になる場合があります。しかし、これらの症状を「個性」と捉え、周りの方が認識の仕方を変えることで本人も周りの方も楽になっていきます。
(1)不注意
集中力が続かず、継続的に同じことができません。何かをしていても、他のことに注意が向くとそちらに興味が移ってしまいます。これが、物事をすぐに投げ出してしまっているように見えてしまいます。
(2)多動性
じっとしていることが難しく、絶えず動いてしまいます。イスに座り続けていることができなかったり、絶えず貧乏ゆすりをしたりします。
(3)衝動性
なにか気になることがあれば、考えずに行動してしまいます。気になるものがあると、その先に危険が予想される場合でも体が先に動いてしまいます。思いついたことをそのまま言葉にしてしまい、相手を傷つけたり、空気が読めないと言われたりすることもあります。
3.ADHDの原因
ADHDの原因は、はっきりとはわかっていません。しかし、ADHDの方は脳内の神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリン)の機能が低下している場合が多いことから、このことがADHDの発症に関係しているのではないかと考えられています。
脳の機能異常が生じる要因に、以下のようなものが挙げられます。
(1)遺伝的要因
ADHDは、同じ家族の中で発現しやすい病気です。遺伝する確率は約7割と言われていますが、遺伝になんらかの環境要因が加わることで発症率が高まると考えられています。
(2)環境的要因
- 家庭内の環境による影響(タバコ・貧困・ネグレクト・虐待・食事・睡眠など)
- 妊娠~分娩までの影響(感染症・未熟児・脳への障害など)
4.ADHDの治療
ADHDの治療は、病気の根治を目指すというよりADHDでお困りの方が日常生活や社会生活を送りやすい状態を作ることが目的となります。病気の大元を治すことが一番良いのですが、ADHDの場合それがなかなかに難しいのが現状です。そのため、お薬を使ったり、考え方や行動の仕方を変えたりすることで、より暮らしやすい状態を作ります。
(1)薬物治療
ドーパミンやノルアドレナリンの機能低下を改善するお薬を使用します。しかし、ADHDは薬だけで治すことが難しいため、あくまで補助的な役割といえます。児童では、薬物治療より心理療法などの非薬物的治療が優先されます。
(2)非薬物的治療
心理療法や行動療法などでADHDにお困りの方が、自分の症状を自覚して克服する術を身につけられるようなお手伝いをします。
- 環境調整:視界から誘惑を減らし、集中しやすい環境を作ります。
- ペアレント・トレーニング:ご家族がお子様への接し方を学びます。
- ソーシャルスキルトレーニング:対人関係を円滑にできる方法を学び、訓練します。
ADHDは、適切なケアが必要な病気です。本人や周囲の方がADHDという病気の特性を理解して向き合うことにより、ADHDの症状が改善する事が多くあります。ADHDは、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。