ジストニアとは、持続的に筋肉の収縮が起きるために生じる運動障害の総称です。この筋収縮は自分の意志でどうにかできるものではないため、姿勢異常や意志とは異なる運動パターンを示しはじめます。

ジストニアの症状は筋肉で起きるので筋肉の病気と思いがちです。しかし、実はそうではありません。筋肉に「こういう動きをしてください」と命令を出す脳が正しい指令を出せていないことが招いてしまった結果と言えます。すなわち、ジストニアは脳が原因の神経疾患なのです。

脳に原因があるのではないかとわかっていても、これをすれば確実に治るという治療法がジストニアにはありません。いくつかの選択肢の中から、自分にあった治療法を試して、症状を和らげたり進行を遅らせたりする必要があります。

ジストニアを治すためには、ジストニアの症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、ジストニアを治したい方のために、ジストニアの症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.ジストニアとは? 

ジストニアとは、体のさまざまな場所で異常な筋肉収縮が持続的に起きる病気です。からだが自分の意志とは異なる動きをするため、日常生活にいろいろな不具合が生じてしまいます。

私達は普段、自分の思うように体を動かしています。これを「随意運動(ずいいうんどう)」といいます。これとは逆に、自分の意志とは無関係に体が動いてしまうことを「不随意運動(ふずいいうんどう)」と呼びます。ジストニアは、不随意運動の一種です。

この不随意運動は、全身のどの筋肉でも起こる可能性があります。ジストニアの症状は筋肉に現れますが、大元の原因は脳にあると考えられています。ジストニアは、中枢神経系が障害されることにより生じてしまった運動障害の総称です。

ジストニアの中には、決まった動作をするときにだけ症状が現れるものがあります。音楽家や美容師など、繰り返し同じ動作をすることで発症してしまう後天的なジストニアはこれに含まれます。

2.ジストニアの症状

ジストニアの症状は、筋肉の異常収縮です。症状が全身に現れる場合を「全身性ジストニア」、症状が首・足・手など一部に現れる場合を「局所性ジストニア」と呼びます。

症状はおおむね一定で、朝は軽く午後から夜にかけて症状が重くなる傾向があります。ストレスがたまると悪化しやすいとも言われています。

(1)全身性ジストニアの症状

下肢や体幹部など、広い範囲でジストニアを発症します。体がねじ曲がったり、反り返ったりします。

(2)局所性ジストニアの主な症状

  • 眼瞼痙攣(がんけんけいれん):まぶたが勝手に収縮してしまうので、まぶたを開けにくくなります。ひどくなると目を開けていることが難しくなります。
  • 痙性斜頸(けいせいしゃけい):首が左右上下のどれかに傾いたりねじれたりします。頸部ジストニアとも呼ばれます。
  • 書痙(しょけい):字を書こうとしても手が震えたり痛みが発生したりするため、字を書くことが難しくなります。
  • 痙攣性発声障害(けいれんせいはっせいしょうがい):声が詰まったり震えたりして、声が出しづらくなります。

3.ジストニアの原因

ジストニアの原因は、脳にある筋肉の収縮に関する場所が何らかの原因で障害されることによるものと考えられています。症状は筋肉で起きていますが、その原因は脳にあるということです。

では、なぜ脳が障害されてしまうのか?そうなってしまう原因により、ジストニアは大きく3つに分けることができます。

(1)原発性(本態性)ジストニア

原因がよくわからないジストニアです。

(2)二次性ジストニア

原因となる要素がわかっているジストニアです。原因となる要素には、以下のようなものが挙げられます。

  • 薬剤の影響(向精神薬などの長期服用)
  • 他の病気の影響(脳血管障害、脳炎など)
  • 同じ動作を長期間続けたことの影響
  • 頭部の手術や外傷の影響

(3)遺伝性ジストニア

遺伝子の異常が原因と考えられるジストニアです。遺伝性ジストニアの多くは、幼児期から成年期にかけて発症します。症状が進行していくため、発症早期に治療を開始したほうが予後は良いとされています。遺伝性ジストニアは、難病に指定されています。

4.ジストニアの治療

ジストニアの治療方法は、残念ながら確立されていません。ジストニアの症状が起きている部位や状態により有効とされる治療法が異なるため、その方にあった治療法が選択されます。

(1)薬物療法

不快な症状を和らげるために、抗コリン薬・抗不安薬・抗パーキンソン薬などが使用されます。

(2)神経ブロック

麻酔を使用して人工的に神経を麻痺させます。不随意運動の軽減が期待できます。

(3)外科的治療(手術)

(4)鍼灸治療

ツボを刺激して、脳の興奮を鎮めたり筋肉の緊張を和らげたりします。薬を使い続けたが効果が見られない、薬を使わずに治したい、副作用が心配と考える方には良いかと思います。

ジストニアは、思うように体が動かなくなってしまうつらい病気です。心身のストレスを減らすことによりジストニアの症状が改善する事が多くあります。ジストニアは、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。