仮面うつ病とは、本当はうつ病であるのに、身体的な症状のほうが大きく前面に出ているために、うつ病が覆い隠された状態、仮面を被ったような状態であるためにこのようにいいます。
うつ病は精神的な病気で、憂うつな気分が続くことや様々な意欲の低下がみられる心理状態のことをいい、日本においてもうつ病は自殺につながる重大な疾患として認識されています。
また、うつ病の患者数はこの10年で18%も増加しており早急な対策が必要とされています。その一方で、仮面うつ病のように、うつ病が覆い隠されている状態では自分がうつ病であるという自覚がなく、正しい診断にいきつくまで時間がかかって治療が遅れてしまう場合もあります。
仮面うつ病は精神的な症状に乏しいものの、身体症状に関してさまざまな検査をしても原因がわからず、悩んでおられる方もたくさんいらっしゃいます。また、抗うつ剤などの薬はハードルが高く拒否されることも多いために、治療に時間を要します。
現在の日本ではまだまだ精神科や心療内科への敷居が高く、紹介を受け入れられない、拒否するなど、治療が進まないのも確かです。体調が悪いのにも関わらず原因も判明せず、さまざまな医師にかかる、異なる診療科へ受診するなど診断に行き着きにくいのも事実です。
仮面うつ病を治すためには、仮面うつ病の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、仮面うつ病を治したい方のために、仮面うつ病の症状・原因・治療について詳しく説明しております。
1.仮面うつ病とは?
仮面うつ病とは、「憂うつな気分」や「意欲低下」、「興味の喪失」などの精神的な症状がほとんど見られず、「頭痛」や「めまい」などをはじめとする身体的症状が前面に見られ、うつ病が覆い隠された状態をいいます。
本当はうつ病であるのに、身体的症状が目立つため、「仮面を被ったうつ病」という意味で「仮面うつ病」と呼ばれています。精神的症状が目立たないため、自覚症状がないことはおろか、医療機関で仮面うつ病と診断されて驚くことも多々あります。
また、仮面うつ病はうつ病と診断されずに自律神経失調症や不安神経症、更年期障害などと診断されることもあり、これらの診断のなかにうつ病が潜在している可能性も指摘されています。
特に軽度のうつ病の場合には、精神症状より身体症状の方が強く出る傾向にあります。またその症状は日常的にみられるごくありふれた症状で、特別なものではないために非常にわかりにくいものです。
2.仮面うつ病の症状
仮面うつ病では、精神症状より身体症状が強く出ますが、その症状は特徴的なものではなく、日常的なものです。仮面うつ病は、以下のような身体症状の訴えが多くなります。
- 睡眠障害
- 寝つきが悪い(入眠障害)
- 眠りが浅く、夜間に何度も目が覚める(熟睡障害)
- 早朝に目が覚めて、眠れなくなる(早朝覚醒)
- 夢ばかり見て、すっきり眠れた感じがしない(多夢)
- 消化管症状
- 食欲がない、吐き気がする
- 胃が痛い
- 便秘ぎみ、下痢ぎみである
- 頭が痛い
- めまいがする
- 肩がこる
- 胸が苦しい、動機がする
他にも性欲減退や生理不順、インポテンツなどの性障害や味覚障害、口の渇きといった症状も見られることがあります。しかし代表的なものは倦怠感と睡眠障害です。
これらは、うつ病における身体的症状と共通しています。日常的によくみられる、ありふれた症状でもありますので、それほど本人が深刻に捉えてない場合もあり、正しく仮面うつ病と診断されるには時間を要することがあります。
長期に渡ってこれらの症状がみられるなど、気になることがあれば仮面うつ病の可能性も考えて精神科や心療内科などの医療機関の受診も検討しましょう。
3.仮面うつ病の原因
仮面うつ病の本質はうつ病なので、うつ病の原因が仮面うつ病の原因となっています。
うつ病の原因とひとことでいっても、うつ病の原因は未だにはっきりとわかっていないことが多いのですが、脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンやセロトニンが少なくなることが原因だと考えられています。
こうした神経伝達物質が減少してしまう原因としては「ストレス」があげられます。特に、現代社会では労働におけるストレスや情報過多におけるストレス、人間関係におけるストレスなど、様々な場面でストレスを受けやすい状況が多く存在していると考えられています。
また、うつ病になりやすい人として、完璧主義や真面目で責任感が強い、規則や秩序を重んじる、気を遣いやすい、といった性格の人がなりやすいと言われています。
中でもよく言われるのが、メランコリー親和型性格と呼ばれる几帳面で仕事において手を抜けない性格で適当にできず、与えられた課題を無理にこなそうとするために、疲労を溜め込みすぎてうつ状態にまで進行します。
また人を傷つけたり、義理を欠く事ができずに、家族や会社などでの今まで続いていた関係が変化したその時にうつになりやすいと言われています。結婚や離婚、転職、引っ越し、身近な人の死などが起こると、仮面うつ病のきっかけとなります。
4.仮面うつ病の治療
仮面うつ病の治療にはカウンセリングや薬物治療法などがありますが、身体的な症状が前面にあらわれる仮面うつ病ではお薬による薬物治療が中心となってきます。
仮面うつ病ではお悩みの方は、うつ病だという自覚のない方がほとんどですが、これらのお薬を服用することによって身体的な症状がぴたりと治まったという方もたくさんいます。
また休養をとることも大切です。抗うつ剤は即効性があるのではなく徐々に効いていきます。薬を飲んでいるからといって頑張りすぎると効果も挙げられません。仕事量を減らすなど、調整しましょう。
抗うつ剤については、抵抗がある方も少なからずいます。しかし、薬を飲まずに頑張るよりも、薬を飲んで一旦症状を落ち着けてから、元の生活に戻していきましょう。また内服も自己判断で辞めずに、医師と相談しましょう。
また、仮面うつ病では精神的な自覚症状がほとんどないので、頑張りすぎないことや、規則正しい生活習慣をおくること、適度な運動などでリフレッシュすることなどを日常生活のなかで気を付けることが大切です。
具体的には、無理な仕事は請け負わない、再発防止のために無理な課題は断る勇気を持つ事が大切となります。また家族や周囲の人は、比較的早く症状に気付きやすい傾向にあります。お気付きになった際には、受診を促していただくなどの協力があれば精神的な不安も減らすことができるでしょう。
仮面うつ病は、精神的な症状がさほど目立たず、身体的な症状が全面に出ているうつ病のため、うつ病と自分でも気づかずに頭痛やめまい、睡眠障害などで悩まされている方が多い病気です。
そのため、医療機関を受診してもなかなか診断がつかないことが多く、お困りの方も多くいらっしゃいます。このような場合には、症状が良くならないためにさまざまな病院や診療科、医師の元を訪れる人も多いと言われています。
お薬を飲んでもなかなか良くならない場合も多くあります。自律神経のバランスの乱れを戻すことにより改善することも多くあります。仮面うつ病でお困りの方は、症状や治療方法などについてしっかりと理解することが重要です。どうぞ一人でお悩みにならないでください。