心身症とは、心の問題が影響して身体の不調を引き起こす病気です。精神面の病気というイメージを持たれそうですが、実際に身体に症状が現れる病気で、身近に聞く病気も心身症の一つである可能性が十分にあります。
神経性胃炎、頭痛、胃潰瘍、円形脱毛症など、ストレスが原因だろうなと想像しやすいものもありますが、ありとあらゆる病気が心身症である可能性はあります。
病名はついてもはっきりした原因がわからず、ストレスからではないかと思われる場合、心身症かもしれません。心身症であった場合は、身体の治療だけでは完治しません。心の問題を解決しなければなりません。
ストレスは誰にでもあります。そのため、ストレスによって引き起こされる心身症は誰にでも起こる可能性があります。ストレスをうまくコントロールして、心身症を回避したいものです。
ストレスを感じやすい性格の方やストレスの多い環境にいる方は、症状が出る前にストレス解消の方法を見つけましょう。
現在、悩んでいる病気や症状が心身症であるならば、心の治療をしてストレスを減少させることで治せる可能性があります。
心身症を治すためには、心身症の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、心身症を治したい方のために、心身症の症状・原因・治療について詳しく説明しております。
1.心身症とは
心身症とは、心の問題が原因となって身体の不調を招く病気のことを言います。同じ病名でも原因が特定される場合と、ストレスが原因ではないかと言われる場合があります。ストレスが身体の不調を引き起こしている場合が心身症と言われるものです。
心身症とは、一つの病気を表しているのではなく、ストレスによって引き起こされる病気の総称です。
胃潰瘍や高血圧、頭痛などは、それぞれ消化器系、循環器系、神経系の疾患ですが、ストレスが原因で起こっているのであれば、それらは心身症というグループでもあるのです。原因がストレス以外のものである場合は、同じ病気でも心身症とは言いません。
心身症であるかどうかを判断するのは難しいのですが、身体症状だけを治療していてもなかなか治らなかったり再発を繰り返したりする場合は、心身症の可能性も考えられます。
心身症は、男性では30~40代、女性では20~30代に多く見られる傾向があります。仕事や家庭でストレスを感じやすい年代と言えます。もし、何らかの体調不良があって、原因がよくわからない場合は、心身症でないかチェックしてみましょう。
- 症状が強いときと弱いときがある
- 日ごろからストレスを感じているが発散できない
- 性格上ストレスを感じやすい
- 再発を繰り返している病気がある
- 心身症の好発年齢である
- 環境の変化があった
いずれかの状況にあり、身体に不調があれば心身症の可能性があります。複数の項目に該当する場合は、その確率が高くなります。
2.心身症の症状
心身症の症状はあらゆる領域に現れ、身体症状を示します。わかりやすいもので言えば、緊張やストレスで胃が痛くなるいわゆる「神経性胃炎」、周囲からもストレスだと指摘されやすい「十二指腸潰瘍」「過換気症候群」「円形脱毛症」などがあります。
他にもよく見られる病気として、「頭痛」「高血圧」「気管支ぜんそく」「アトピー性皮膚炎」「摂食障害」「頻尿」「自律神経失調症」「じんましん」などがあげられます。
身近な病気や症状が心身症である可能性は十分にあります。心身症の症状は一部の限定された部分だけに現れるのではなく、どのような症状が起こってもおかしくないのです。
心身症の症状は、ストレスによるものなので、症状が強いときと弱いときがあるなど、ムラがあります。
また、身体症状だけでなく、原因であるストレスを感じているはずですが、中にはストレスだと気づかない人もいるようです。ストレスに気づかない人は、身体の不調が心身症だと気づきにくいでしょう。治療を行っても症状がなかなか改善しない場合は心身症を疑ってみましょう。
他に心の問題が原因で起こる病気として、神経症があります。これは心身症と同じようにストレスなどが原因となっていますが、身体ではなく精神症状が現れるもので、心身症ではありません。
心身症と神経症の違いは、身体症状が現れるか精神症状が現れるかという点です。
3.心身症の原因
心身症の原因はストレスです。心身症は、環境の変化や人間関係、過労、身近な人の死などによるストレスが原因となって起こります。ストレスは自律神経や免疫系、内分泌系に影響を与え、バランスを崩す原因となり、身体に不調が現れるのです。
心身症は、いつも他人に行動や意見を合わせてしまう人や、自分の気持ちをうまく表現できない人に発症しやすいということです。
また、完璧主義の人や責任感の強い人が、なかなかうまくいかない現実に直面したときにそれがストレスとなり、心身症の原因となる可能性があります。
ストレスが原因となって心身症が起こると、そのことがまたストレスとなって心に影響します。そのストレスが心身症を引き起こす原因になるという悪循環となります。
このような悪循環を断つためには、ストレスになっているもともとの原因を知って対処しなければなりません。社会的要因が原因となっているのか、性格が原因となっているのか、客観的に見つめてみましょう。
4.心身症の治療
心身症の治療は、身体の面と心の面の両方から行う必要があります。身体の治療だけでは心身症は治せません。身体に実際に症状が現れているので、薬物治療などで症状を抑えながら、心の治療を行います。
心の問題を解決しないと、身体の症状がいったん治まっても、再発したり別の症状が現れたりする可能性があります。心の治療はゆったりと構え、根気良く続けましょう。自分をリラックスさせる必要があります。
心の治療としては次のようなものがあります。
(1)薬物療法
抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入剤、漢方薬などで心の状態を改善していきます。
(2)心理療法
さまざまな方法がありますが、経過を見ながら必要に応じていくつかの心理療法を組み合わせて行います。
・認知行動療法
人付き合いの訓練や問題解決の訓練、悲観的な考えを修正する訓練などを通じて、自分自身で症状をコントロールできるようにします。
・自律訓練法
リラックスした状態を自分で作る方法です。
・作業療法
楽しい作業に集中している間は、症状のことを忘れ、気持ちを切り替えやすくなります。趣味やレクレーションなどを生活に取り入れましょう。
(3)生活習慣の改善
日々のささいなことが積み重なってストレスとなっているかもしれません。生活を見直してみることも大切です。
- 悩みを一人で抱え込まないで身近な人に相談する
- 規則正しい生活をする
- バランスの良い食事をとる
- 飲酒を控える
- 十分な睡眠をとる
- 適度な運動をする
現代はストレス社会とも言われており、多くの方がストレスを感じていると考えられます。自分に厳しい方や完璧を求める方は、特にストレスを感じやすいでしょう。心身症は、ストレスが原因ですので、だれがなってもおかしくありません。
ストレスの強い状態を放置すると、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。日ごろからストレスを解消する方法を考えておきましょう。
心身症は、ストレスをコントロールして、しっかりと治療すれば改善することができる病気です。どうぞあきらめないでください。