「息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難」は空気を吸い込むことができない、呼吸がしづらい、息が詰まるなどが主観となる症状と同じものですが、これらの症状を引き起こす原因はさまざまです。
一般的には、のどや気管、肺や心臓など症状が現れる体の部位の不調を疑う方が多いでしょう。しかし、これらの他にもストレスなどによる自律神経の乱れからも起こることもあると言われています。
この章では、「息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難」の症状、原因、治療について詳しく説明しております。
【目次】
1. 息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難とは?
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難は、一般的には、肺やのど、心臓など胸部に何らかの問題がある場合に、症状として現れます。
しかし、息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難は、これらの臓器に明らかな問題がなくても、自律神経失調症の症状のひとつとして現れることもあります。
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の症状を発現する自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが乱れて起こります。自律神経は、内臓や血管、内分泌など身体のさまざまな臓器に対して、交感神経と副交感神経が互いに相反するように働いて、身体が正常に働くようにバランスを調節しています。
ところが、ストレスや過労、生活の乱れが続き、ストレス解消や休息が取れない状態が続くと体は耐え切れずに、自律神経のバランスが乱れて、自律神経失調症となるのです。身体のさまざまな臓器に影響を及ぼし、さまざまな不快な症状が現れます。息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難もそのひとつです。
2. 息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の症状
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の症状は、1)症状を示す体の部分に何らかの障害がある場合、2)自律神経のバランスが乱れて起こる自律神経失調症の場合、に現れます。
1)のどや気管、肺や心臓に症状がある場合
例えば風邪などの感冒症状が長引いたり、悪化した場合には、息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難などの症状が見られます。特に肺炎などを起こしたり、気管支や喉に特徴的に感冒症状を示す場合もあります。
または長期にわたる喫煙などによって起こりうる慢性閉塞性肺疾患や肺気腫など慢性的な肺の病気でも起こり得ます。喘息やアレルギーなども同様の症状が見られることもあります。
他にも、心臓疾患による息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難は、心筋梗塞や狭心症、心臓弁膜症などが原因となったり、心不全などでも同様の症状が引き起こされます。
2)自律神経の乱れによる場合
先ほどご説明した場合とは異なり、自律神経のバランスを乱す病気では、どんな病気でも症状のひとつとして現れる可能性があります。
季節の変わり目などに、自律神経が乱れがちな方もいらっしゃいます。
(1)精神疾患の症状の一つ
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の症状は、精神疾患の症状のひとつとして現れることがあります。うつ病やパニック障害、不安障害といった精神疾患は、自律神経失調を伴うため、息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の症状以外にも、さまざまな自律神経失調症状が現れます。精神疾患に伴う自律神経失調症状には、耳鳴や手足の冷え、食欲不振、吐き気、下痢・便秘、倦怠感、発汗、頭痛・頭重、疲労感、しびれなどもあります。
(2)過呼吸症候群によるもの
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の症状は、過呼吸症候群の症状でもあります。過呼吸症候群もまた、不安や緊張、恐怖などの精神的なストレスや肉体的な疲労によって、自律神経が乱れて、浅く早い呼吸を繰り返し、空気を吸い込み過ぎたために、血液中の二酸化炭素が減少して起こります。
(3)更年期障害によるもの
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の症状は、自律神経やホルモンのバランスが乱れる閉経前後の更年期にも、現れることがあります。息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の症状の他に、動悸やホットフラッシュと言って急に体温調節が乱れて汗をかくなどの症状もあります。
3. 息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の原因
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の原因はその当該疾患の場合、不調が現れている臓器に対するさまざまな検査が必要となります。血液検査やレントゲン・MRIの撮影、エコーなどのさまざまな検査がその代表的なものです。
治療を行うためにはこれらの検査により、不調を起こしている原因を突き止める必要があります。息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難を引き起こす原因は、風邪などの軽いものから心臓病やガンなどに至るまでさまざまです。
しかし息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の原因は、肺やのど、心臓など胸部の検査を行っても、何も問題がない場合、自律神経失調症のひとつの症状として現れている可能性があります。
自律神経失調症は、さまざまな症状が合わさって現れていることも多く、自律神経失調症を客観的に診断する方法も無いため、明らかに診断されることが難しい病気です。
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の原因として、自律神経失調を生じる病気が考えられます。自律神経失調を生じる病気には、うつ病、パニック障害、不安障害などの精神疾患や、過呼吸症候群、更年期障害などがあります。
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の原因となる病気が明らかでない場合、ストレスや生活の乱れ、過労が原因で、自律神経が乱れていると考えられます。これといった大きなストレスや疲労を感じていなくても、現代の社会生活は、ライフスタイルが人それぞれです。
生活時間の違いや音の問題、人間関係など些細な環境の違いなど、小さいストレスが少しずつ積み重なって、自律神経が乱れる原因となっている場合もあります。息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の原因となる生活習慣やストレスなど、見直してみると良いでしょう。
4. 息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の治療
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の治療では、まず、原因となる明らかな病気がないか、医療機関を受診しましょう。
明らかに対象となる臓器に治療の必要性がある場合には、原因を取り除くための薬物療法や運動療法、手術療法、食事療法などの治療を行います。
呼吸器科や心臓や血管の働きを診る循環器科を受診して明らかな原因が無い場合には、精神科や心療内科も受診してみましょう。更年期の場合、更年期の症状をやわらげる薬がありますので、婦人科や内科で相談します。男性にも更年期障害があるので、相談すると良いでしょう。
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の治療として、自律神経のバランスを整えるには、規則正しい生活をして、十分な休息と睡眠を取ることを心がけます。また、ストレス解消法として、軽い運動や散歩などが適しています。時間が無い場合には、入浴もおすすめします。その他、自分の趣味、音楽や映画鑑賞などの時間を作るようにして見ると良いでしょう。
息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難の治療として、直接的に症状を抑える薬は、呼吸器や心臓に問題がない限り処方されない可能性があります。ただ、自律神経失調症の症状であれば、かかりつけ医に相談して、睡眠薬や漢方薬など自律神経失調の症状を改善する薬を処方してもらうのも良いでしょう。
「息苦しさ・胸のつかえ・呼吸困難」はさまざまな原因疾患から起こる兆候です。原因が明らかではないが、症状が現れるという自律神経の乱れや更年期なども存在します。原因となる疾患にあった治療や対応が必要となります。どうか諦めないでください。