ホットフラッシュとは、急に顔や体が熱くなり、大量の汗をかく身体の症状で、更年期障害に起こることが多いと言われます。40~50代の女性に多く、女性ホルモンが影響して起こります

ホットフラッシュは、場所を選ばず起こり、ひどければ短時間の間に何度も症状が現れます。体力も消耗しますし、日常生活や仕事に支障をきたす場合もあります。また夜間に寝汗をかくという方もいらっしゃるようです。

ホットフラッシュはつらい症状であるにもかかわらず、更年期が過ぎれば治るだろうと我慢をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、長い方では15年以上続き、70~80代になってもホットフラッシュで悩まれている方もいらっしゃるようです。

ホットフラッシュを治すためには、ホットフラッシュの症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、ホットフラッシュでお困りの方のために、ホットフラッシュの症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.ホットフラッシュとは

ホットフラッシュとは、急に顔や体がカーッと熱くなり、大量の汗が吹き出してくる症状です。更年期障害の症状の一つで、代表的なものの一つであると言えます。

ホットフラッシュは女性ホルモンの減少で起こるもので、閉経前後から現れ、更年期女性の3/4が経験すると言われています。ホットフラッシュは、時間や場所を選ばず急に症状が現れるため、更年期女性の大きな悩みです。

ホットフラッシュを経験した女性の85%が1年以上持続したと言い、5年以上続く方も結構いらっしゃいます。中には70~80代になってもホットフラッシュの症状が治まらない方もいらっしゃいます。

ホットフラッシュは更年期だけに特有なものではなく、甲状腺機能亢進症や自律神経失調症でも見られます。更年期だと思っていたら実は他に原因があり、重大な病気に気づかないということもあります。

その場合には、ホットフラッシュ以外の症状がないかどうかが重要な鑑別の一つです。また、ホットフラッシュでお困りの方にとっては、辛い症状が続くために精神的に参ってしまうこともしばしばです。辛い症状に場合には我慢せずに、婦人科などで相談しましょう。

2.ホットフラッシュの症状

ホットフラッシュの症状は、血管運動神経症状と言われ、主に次の三つがあります。

  • のぼせ

頭に血がのぼったような状態です。

  • ほてり

顔や体が急にカーッと熱くなります。

  • 多汗

気温が特別高いわけでもないのに、顔や体から大量の汗が出ます。

ホットフラッシュの症状の出方は個人差があり、程度の強さや頻度もさまざまです。症状の強い方は、衣服がしぼれるほど大量の汗をかくこともあります。頻度の高い方は、短時間の間に何度も症状が現れることがあります。

3.ホットフラッシュの原因

ホットフラッシュは主に女性ホルモンの減少により起こるために、更年期障害の一つの兆候として現れますが、そればかりではありません。ホットフラッシュの原因についてご説明します。

(1)更年期障害

女性は45歳から55歳くらいの間を更年期と言い、50歳前後で閉経を迎えルことが多く、女性ホルモンの分泌などに影響を与えます。

そのため更年期にはホルモンバランスが崩れ、病気とは言えないまでも体調不良が現れてきます。これを更年期症状と言い、生活に支障がある場合を更年期障害と言います。

女性ホルモン(エストロゲン)が減少し月経が止まる頃から、ホットフラッシュの症状が現れてきます。エストロゲンは、月経周期だけでなく自律神経のバランスや体温調節にかかわっているため、エストロゲンが減少すると、体温調節がうまくいかず、ホットフラッシュが起こります。

(2)甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンの過剰分泌によって、必要以上に機能が亢進する病気です。甲状腺ホルモンの作用は新陳代謝を高めたり、交感神経の活動を活発にしたりする働きがあります。

甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンの分泌が多すぎるため、代謝が高まり、体温が上がり汗をかく、いわゆるホットフラッシュの症状が現れます。

(3)自律神経失調症

自律神経には体の状態を一定に保とうとする働きがあります。ストレスなどで自律神経のバランスが崩れ自律神経失調症になると、さまざまな症状が現れてきます。体温調節もうまくいかなくなり、のぼせや多汗などホットフラッシュの症状が現れることもあります。

4.ホットフラッシュの治療

ホットフラッシュの治療を行う際は、まず更年期障害の症状なのか、その他の病気のために現れた症状なのか診断を受けます。更年期障害以外の病気の場合は、原因となっている病気の治療を行います。

ホットフラッシュの症状は、いつも同じ出方をするわけではありません。症状が軽い日もあれば重い日もあります。時間帯もまちまちです。予測することが難しいので、いつ症状が出ても落ち着いて対応できるように心がけておくことも大切です。

以下に、更年期障害のホットフラッシュについて治療法と対策をご説明します。

(1)更年期障害のホットフラッシュの治療

ホットフラッシュの治療には、薬物療法が主な治療となり、サプリメントなどでの対応、運動や食事による症状の軽減を図ります。

薬物療法の中にはホルモン補充療法と漢方薬の2つの方法があります。

①ホルモンの補充療法

更年期障害の原因となるエストロゲンの減少を補います。飲み薬や貼り薬、塗り薬があります。最も効果が高いと言われ、治療12週間でほてりや多汗が改善されてきます。ホルモン補充療法を受けている間は定期的にがん検査などを受ける必要があります。

最もホットフラッシュに効果的な治療だと言われていますが、乳がんにかかったことがある人は、ホルモン補充療法は受けない方が良いとされています。

②漢方療法

更年期障害では漢方薬もよく用いられます。漢方薬もホットフラッシュの症状に効果があると言われています。医師に処方の相談などを行うと良いでしょう。

(2)更年期障害のホットフラッシュの対策

生活の見直しをすることも、更年期障害のホットフラッシュの改善に役立ちます。また、ホットフラッシュの症状が出たときにきちんと対応することで、症状を早めに落ち着かせることができます。

①体温コントロール

更年期障害では、エストロゲンの減少によって体温調節機能が低下しています。衣服の調整をしたり部屋を涼しくしたりすることで体温をコントロールしましょう。外出時にはウエットティッシュや冷たいジェルパックなどを持参し、発作時に首筋を冷やすと症状が落ち着きます。

②禁煙

喫煙者は非喫煙者に比べて、早く更年期障害が始まり、重度のホットフラッシュになる傾向があります。できるだけ喫煙を控えましょう。

③食事

納豆や豆腐などの大豆製品は大豆フラボノイドを含み、エストロゲンに似た作用をするので、積極的にとりましょう。ただし、乳がんのある方は大豆製品を控えた方が良いと言われています。また、辛い食べ物、カフェイン、アルコールなども控えましょう。

ホットフラッシュは更年期に現れることが多い症状です。突然、顔や体が熱くなり、大量の汗をかくので、不快でもありますし、体力も消耗します。ホットフラッシュでお悩みの方にとっては生活に支障をきたすことも多く、大変つらいものです。

原因や対処法を見極め、しっかりと治療すればホットフラッシュの症状は良くなります。どうぞあきらめないでください。