過換気症候群・過呼吸(かかんきしょうこうぐん・かこきゅう)とは、発作的に息苦しくなってしまう病気です。肺や心臓など、体を調べても異常が見つからないことが多いため、こころの病と考えられています。
息苦しさからパニックになり、手足がしびれてきてけいれんを起こしたり気を失ったりすることもあります。この発作は時間と共に自然に収まっていき命にかかわることはないのですが、「死ぬかもしれない」という強い恐怖を感じる方が多いと言われています。
過換気症候群・過呼吸は、20代の若い女性に多い傾向があります。ストレスが引き金になりやすいことから、治療は心理療法が中心となります。
過換気症候群・過呼吸を治すためには、過換気症候群・過呼吸の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、過換気症候群・過呼吸を治したい方のために、過換気症候群・過呼吸の症状・原因・治療について詳しく説明しております。
【目次】
1.過換気症候群・過呼吸とは?
過換気症候群・過呼吸とは、呼吸が早くなり息苦しくなってしまう状態が発作的に起きる病気です。
この症状は、緊張や不安などの精神的ストレスが引き金になりやすく、思春期~20代前半の年代に多くみられる傾向があります。男女比では、女性の方が多いと言われています。
過換気症候群・過呼吸が起きた時には、ゆっくりと呼吸して息を整えることが症状を鎮めるために重要です。しかし、頭でわかっていても発作が起きるとどんどん苦しくなって焦ってしまいます。過換気症候群・過呼吸は、発作が起きてしまうと不安な気持ちと苦しい症状がこんがらがって悪循環に陥りやすい病気です。
しかし、過換気症候群・過呼吸の発作で命を落とすことはありません。日頃から発作を起こさないような対策を取り、発作が起きてもパニックにならず適切な処置をすることが、不安なく毎日を過ごすためにはとても重要です。
2.過換気症候群・過呼吸の症状
過換気症候群・過呼吸の症状は、こころとからだの両方で多彩な症状を示します。
過換気症候群・過呼吸では、発作が起きてしまうと混乱して呼吸を整えることが難しくなりますが、呼吸が整うと他の症状も治まっていきます。
(1)こころの症状
苦しい状態が続くため、「このまま死んでしまうのではないか」という不安感を強く感じます。この不安感がより強い症状を引き起こす可能性があります。
(2)からだの症状
呼吸に問題が生じることで、交感神経(自律神経の一種)や呼吸中枢などが刺激されます。その結果、いろいろな症状がからだに現れはじめます。
- 息苦しい
- 手足がしびれる
- 動悸がする
- 脈が早くなる(頻脈)
- めまいや吐き気
- 胸がしめつけられる
- けいれんや意識消失
3.過換気症候群・過呼吸の原因
過換気症候群・過呼吸の原因には、ストレスや不安が関係していると考えられています。呼吸が苦しくなる以外の症状は、発作により息を吐きすぎたことで、血中の二酸化炭素濃度が下がった結果引き起こされます。
過換気症候群・過呼吸を誘発する恐れがあるもの
(1)精神的ストレス
不安・恐怖・緊張など精神的なストレスがあると、これらが引き金となり過換気症候群・過呼吸の発作が生じる恐れがあります。
(2)性格
几帳面・神経質・心配性な方は、過換気症候群・過呼吸の発作を起こしやすいと言われています。
(3)肉体的疲労
運動後や睡眠不足なども呼吸中枢を過剰に刺激して、過換気症候群・過呼吸の発作を誘発する恐れがあります。
発作後の症状が起きてしまうメカニズム
発作でたくさんの息を吐く
↓
血液中の二酸化炭素が呼気で体外に排出される
↓
血液がアルカリ性に傾く
↓
体内のバランスが崩れ、いろいろな症状が現れる
4.過換気症候群・過呼吸の治療
過換気症候群・過呼吸の治療は、発作が起きているときと起きていない時で方法が異なります。
過換気症候群・過呼吸は、繰り返す傾向があるため、両方の治療に力を入れる必要があります。
(1)発作が起きたときの治療法
- 呼吸法:意識的にゆっくり呼吸をしたり、一瞬呼吸を止めたりすることで発作を鎮めます
- 紙袋再呼吸法(ペーパーバック法):はいた息を紙袋に入れて、それをもう一度吸い込みます。血液中の二酸化炭素濃度を上げることが目的です。以前は過換気症候群・過呼吸の対処法として一般的でしたが、現在では酸素不足になり窒息する恐れもあるとしてこの方法は勧められていません。
- 抗不安薬の使用:不安を和らげ、発作を鎮めます
(2)発作が起きていないときの治療法
- 心理療法:考え方や行動を変えて、不安やストレスを軽くする方法を学びます。
- 薬物治療:予防的に抗不安薬を服用します。
過換気症候群・過呼吸は、ストレスとの関連が深い病気です。ストレスを上手に解消してこころとからだを穏やかに保つことにより、過換気症候群・過呼吸の症状が改善する事が多くあります。
特に病院の検査で問題がない場合は、自律神経のバランスの乱れの原因が多く診られます。過換気症候群・過呼吸は、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。